質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八七号

内閣参質一八七第八七号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員糸数慶子君提出与那国島への自衛隊レーダー施設の設置による健康被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出与那国島への自衛隊レーダー施設の設置による健康被害に関する質問に対する答弁書

一について

 陸上自衛隊の沿岸監視部隊は、我が国の領海及び領空の境界に近い地域に配置し、海上及び上空を監視する沿岸レーダー等により付近を航行・飛行する艦船や航空機等を監視し、各種兆候を早期に察知することを任務とする部隊であり、与那国島に配置する部隊の規模については、百五十名程度とすることを検討しているところである。
 沖縄県与那国町字与那国樽舞、同町字与那国満田原及び同町字与那国宇良部に沿岸監視部隊の運用に必要な施設を建設する予定であり、同町字与那国樽舞においては、約二十三ヘクタールの敷地に二十三棟の鉄筋コンクリート造の建物を、同町字与那国満田原においては、約二ヘクタールの敷地に七棟の鉄筋コンクリート造の建物を、同町字与那国宇良部においては、約一ヘクタールの敷地に鉄筋コンクリート造の建物一棟をそれぞれ建設予定である。
 また、隙のない沿岸監視態勢を保持することを任務とする部隊であるため、同町字与那国樽舞に建設する予定の施設に沿岸レーダーを、当該施設及び同町字与那国宇良部に建設する予定の施設に海上及び陸上を監視する受信監視システム及び映像監視装置を配置することを予定している。このほか、沿岸レーダーの補完用として移動監視レーダーを配置することを予定しているが、配置場所については未定である。
 与那国島への沿岸監視部隊の配置については、与那国町に対して累次説明するとともに、三回にわたる住民説明会等の累次の機会を通じて説明を行ってきているところである。

二について

 沖縄県与那国町字与那国樽舞に建設する予定の施設に設置する予定の沿岸レーダーの設置場所から民家又は公共施設までの最短距離は、約百九十メートルである。
 当該レーダーの出力数値については、これを明らかにした場合、自衛隊の部隊等の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。
 当該レーダーの電波については、防衛省において、電波防護指針等に基づき電波の強度の算出を行い、自衛隊施設外に対して電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第二十一条の三に基づく電波の強度を超えないことを確認しており、その結果を平成二十六年一月二十二日に与那国町に説明したところであり、今後、住民に対しても同様の説明を行うことを検討している。
 当該レーダーを自衛隊が運用するに当たっては、関係法令に基づいて適切に運用することで、住民への健康被害が生じないよう万全の処置を講じていきたい。

三について

 レーダー等の無線設備から発射される電磁波について、我が国においては、電波法施行規則等で、世界保健機関(以下「WHO」という。)が遵守することを推奨している国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)により平成十年四月に発表された「時間変化する電界、磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(三百ギガヘルツまで)」(以下「ICNIRPガイドライン」という。)に定められている基準と同等の基準を定めている。WHOが電磁波の健康への影響に関して正式見解を示したファクトシートにおいて、ICNIRPガイドラインに定められている基準値以下の弱いRF(無線周波)信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されていることから、政府としては、現行の基準により人体への危害の防止が図られているものと考えている。
 総務省としては、電磁波の健康への影響に関して、WHOの国際電磁界プロジェクトの動向や今後の国 内外の調査研究の進展を踏まえつつ、更なる調査・分析を進め、その結果を受けて、必要に応じて現在の 基準を再検討する等の対策を講じてまいりたい。