質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八〇号

内閣参質一八七第八〇号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出自衛隊による住民基本台帳閲覧及び個人情報の収集に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出自衛隊による住民基本台帳閲覧及び個人情報の収集に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「自衛隊が、住民基本台帳を利用し、その情報に基づき自衛官募集のためのダイレクトメールを現役高校生に送付し始めた時期」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省では、従前から、自衛官及び自衛官候補生の募集に係るダイレクトメールを高校生に対し送付しているものの、当該ダイレクトメールを高校生に送付し始めた時期については、現時点で確認することができないことから、お答えすることは困難である。

二及び九について

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二十九条第一項及び第三十五条の規定に基づく自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務については、住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第十一条第一項に規定する「法令で定める事務」の遂行のために必要である場合に該当し、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を請求することができるものと考える。
 また、お尋ねの「個人情報収集」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛官及び自衛官候補生の募集に関し必要な資料については、自衛隊法第九十七条第一項及び自衛隊法施行令(昭和二十九年政令第百七十九号)第百二十条の規定により、防衛大臣が市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長に対し提出を求めることができると解される。
 御指摘の「自衛隊による閲覧及び個人情報収集は、この判例に違反している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛官及び自衛官候補生の募集に関し必要となる個人の氏名、生年月日等の情報は、防衛省において、法令に基づき適法に入手した上で、適正に管理することに努めており、「判例に違反」するなどという問題を生ずるものではないと考える。

三及び四について

 御指摘の「個人情報提供の具体的な内容及び手続の明確な規定」及び「具体的な法律の規定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊法第九十七条第一項及び自衛隊法施行令第百二十条の規定は、自衛官及び自衛官候補生の募集に関し必要となる個人の氏名、生年月日等の情報に関する資料について、防衛大臣が市町村の長に対し提出を求めることができる法令上の根拠であると解される。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国の行政機関における個人情報の取扱いについては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)によって規律されることから、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二条第三項において国の行政機関は個人情報取扱事業者から除外されているところであり、国の行政機関については、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする行政機関個人情報保護法によって、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、個人情報を保有することとされ、個人情報の保有に当たり、御指摘の「本人の同意」は必要とされていないことから、お尋ねのような「問題」を生ずるものではないと考える。

六について

 お尋ねの「自衛隊に市区町村から提供される個人情報」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊法第九十七条第一項及び自衛隊法施行令第百二十条の規定により提出を求めている自衛官及び自衛官候補生の募集に関し必要となる個人の氏名、生年月日等の情報に関する資料については、紙媒体又は電磁的記録によって提出されているものと承知している。

七について

 お尋ねの「自衛隊が取得した個人情報」及び「個人情報の利用後の処理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊地方協力本部が入手した自衛官及び自衛官候補生の募集に関し必要となる個人の氏名、生年月日等の情報は、防衛省において、利用目的の達成に必要な範囲でのみ保有することを徹底することを含め、法令に基づき適正に管理することに努めている。

八について

 自衛官及び自衛官候補生の募集については、自衛隊法第二十九条第一項の規定により自衛隊地方協力本部が地方における自衛官及び自衛官候補生の募集事務を行うこととされており、自衛隊地方協力本部は、同項の規定に基づき御指摘の「ダイレクトメール」の「返信」を受けているものである。
 これに対して、「平成二十七年三月新規中学校・高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知)」(平成二十六年三月二十七日付け二五文科初第一四二六号・職発〇三二七第四号文部科学省初等中等教育局長及び厚生労働省職業安定局長連名通知)は、学校教育を充実し、就職希望者の適正な職業選択を確保するとともに、求人秩序の確立を図るとの観点から発出されたものであり、文部科学省及び厚生労働省より、関係機関への協力を要請するものであるところ、自衛官及び自衛官候補生の募集については、自衛隊法第二十九条第一項の規定に基づき行われており、お尋ねのような「違反」の問題が生ずるものではないと考える。