質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一八七第四九号
  平成二十六年十一月十一日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員浜田和幸君提出日本の対中直接投資の促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田和幸君提出日本の対中直接投資の促進に関する質問に対する答弁書

一について

 財務省が公表している国際収支状況(以下「国際収支状況」という。)によると、過去三年間の我が国からの直接投資に関し、各年における実行額から回収額を差し引いた金額の上位五か国は、平成二十三年においては、米国、英国、中国、ブラジル及びオーストラリアであり、平成二十四年においては、米国、中国、英国、オーストラリア及びオランダであり、平成二十五年においては、米国、英国、タイ、中国及びオランダである。

二について

 お尋ねの「分野毎」が具体的にどのような分類を意味するのか必ずしも明らかではないが、国際収支状況において、平成二十三年から平成二十五年までの間における各四半期の我が国から中国に対する直接投資の実行額から回収額を差し引いた金額が業種別に示されており、当該統計は財務省ホームページに掲載されている。

三について

 お尋ねの「分野毎」が具体的にどのような分類を意味するのか必ずしも明らかではないが、国際収支状況に示された①平成二十六年一月から三月まで及び②同年四月から六月までのそれぞれの期間における我が国から中国に対する直接投資の実行額から回収額を差し引いた業種別の金額について、前年同期の金額と比較して実行超(実行額が回収額よりも大きいことをいう。以下同じ。)から回収超(回収額が実行額よりも大きいことをいう。以下同じ。)に又は回収超から実行超に転じていることにより単純に前年同期比をお示しすることが適当でないと考えられるもの及び平成二十六年一月から三月まで若しくは同年四月から六月までの期間又はその前年同期において、該当のデータが存在しない又は報告件数が少なく個別データ保護の観点から該当のデータが公表されていないため、前年同期比をお示しすることができないものを除いて前年同期比をお示しすると、次のとおりである。
 食料品 ①マイナス八パーセント ②プラス三十八パーセント
 繊維 ①マイナス六十六パーセント
 木材・パルプ ①プラス二百七十パーセント
 化学・医薬 ①マイナス十一パーセント ②マイナス五十六パーセント
 ゴム・皮革 ①プラス五十九パーセント
 ガラス・土石 ①プラス四十五パーセント ②マイナス三十三パーセント
 鉄・非鉄・金属 ①マイナス三十九パーセント ②マイナス二十パーセント
 一般機械器具 ②マイナス三十三パーセント
 電気機械器具 ①マイナス八十八パーセント
 輸送機械器具 ①マイナス三十四パーセント ②マイナス四十九パーセント
 精密機械器具 ②プラス三十二パーセント
 建設業 ①プラス八百四十四パーセント ②プラス四百八十パーセント
 運輸業 ①マイナス十三パーセント ②マイナス九十パーセント
 通信業 ①マイナス百パーセント ②プラス五百五十九パーセント
 卸売・小売業 ①マイナス六十四パーセント ②マイナス五十二パーセント
 金融・保険業 ①プラス七十一パーセント ②プラス五百四十二パーセント
 不動産業 ①マイナス九十一パーセント ②マイナス七十七パーセント
 サービス業 ①マイナス四十三パーセント ②マイナス二十七パーセント

四について

 お尋ねについては、中国国内の労働コスト、中国経済全般の動向等の様々な要因が影響していると考えられるが、一概にお答えすることは困難である。

五及び六について

 お尋ねについては、政府として、対外直接投資を含む日本企業の海外展開の支援に取り組んでおり、中国についても、各在外公館や独立行政法人日本貿易振興機構等を通じ、日本企業を対象とした個別の相談対応、セミナー等の開催、展示会等への出展支援や、関係当局への申入れ等を実施している。また、平成二十六年五月十七日には、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定(平成二十六年条約第五号)が効力を生じた。これにより、中国における投資環境が改善されることが期待される。
 環境分野においては、政府間の各種の対話等を通じた協力の推進に加えて、日中両国の官民による「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」の開催、独立行政法人日本貿易振興機構等に設置した「日中省エネ・環境協力相談窓口」を通じての日本企業への相談対応、民間団体による大気汚染対策に係る協力への支援等を実施している。