質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一八七第三八号
  平成二十六年十月三十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員櫻井充君提出年金積立金管理運用独立行政法人における運用と災害リスクに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出年金積立金管理運用独立行政法人における運用と災害リスクに関する質問に対する答弁書

一について

 地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成二十六年四月二十五日に公表した「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」によれば、平成二十六年一月一日から三十年以内に、南関東地域の直下のプレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震が発生する確率は七十パーセント程度、相模トラフ沿いでマグニチュード八クラスの地震が発生する確率は、ほぼ零から五パーセントと推定されている。
 中央防災会議防災対策実行会議に設置された首都直下地震対策検討ワーキンググループの被害想定によると、南関東地域で発生するマグニチュード七程度の地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約四十七・四兆円、生産・サービス低下の影響が約四十七・九兆円、相模トラフ沿いで発生するマグニチュード八クラスの大正関東地震タイプの地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約九十兆円、生産・サービス低下の影響が約七十兆円と試算されている。
 首都直下地震が発生した際の株価及び金利の変動についての試算は行っていない。

二について

 地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成二十六年一月十五日に公表した「平成二十六年(二千十四年)一月一日を基準日として算定した地震の発生確率値」によれば、平成二十六年一月一日から三十年以内に、南海トラフでマグニチュード八から九クラスの地震が発生する確率は、七十パーセント程度と推定されている。
 中央防災会議防災対策推進検討会議(当時)に設置された南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの被害想定によると、南海トラフで発生するマグニチュード九・一の地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約百六十九・五兆円、生産・サービス低下の影響が約四十四・七兆円と試算されている。
 南海トラフ地震が発生した際の株価及び金利の変動についての試算は行っていない。

三について

 国土強靱化については、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成二十五年法律第九十五号)第一条において「事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模自然災害等(以下単に「大規模自然災害等」という。)に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり」とされており、特定の災害のみへの対策として行われるものではないが、首都直下地震及び南海トラフ地震は、同条の「大規模自然災害等」に該当するものと考えている。

四について

 年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)においては、基本ポートフォリオの策定に当たり、地震等の自然災害の影響も織り込まれた資産価値の変動に関するデータ等を用いて運用リスク等の推計を行っている。

五について

 年金積立金の運用は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十九条の二及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十五条の規定において、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとされており、また、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)第二十条の規定においては、GPIFの中期計画に定めるものとされている年金積立金の管理及び運用の基本的な方針等の事項について、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見等を考慮することとされているところ、御指摘の「災害リスクを考慮する」ことについても、こうした観点から検討されるものと考えている。