質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九七号

フードバンクの国内における普及に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月十八日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   フードバンクの国内における普及に関する質問主意書

 「フードバンク」活動とは、包装の印字ミスや賞味期限が近いなど、まだ食べられるにもかかわらず販売が困難な食品・食材を、NPO法人等が食品メーカー等から引き取って、福祉施設等へ無償提供して生活困窮者等の支援に活用する活動である。このような活動は、我が国において年間五百万トンから八百万トンもの量が発生しているとされる、本来食べられるにもかかわらず廃棄される食品廃棄物(いわゆる「食品ロス」)を削減するために非常に有効な手段となると考えられる。
 フードバンク活動は、米国においては既に四十年の歴史があり、年間二百万トンの食品が有効活用されている。一方、我が国においては、平成十二年以降フードバンクが設立され始めたところであり、フードバンクによる食品ロス削減量も年間四千五百から六千五百トン程度に留まっている。このため、政府がフードバンク活動をより加速させていくことが必要である。
 このような観点から、以下質問する。

一 フードバンク活動実態調査(平成二十一年)によると、フードバンク活動について「知らなかった」と回答した人の割合が全体の七割を超えた。また、フードバンク活動を支援できない理由として、フードバンクの実態が分からないことを挙げる企業等も多く、フードバンク活動への支援の妨げとなっている。フードバンク活動の認知度向上を図り、理解を広める必要があるが、政府の取組方針を示されたい。

二 食品を提供する企業等の支援者にとって、提供した食品が衛生上正しく扱われることや、転売などされずに食べ物を必要としている人に確実に届くことが保証されていることが重要である。しかし、現在、「フードバンク」の法的な定義等はなく、誰でもフードバンクを名乗った活動ができる状態となっている。そのため、企業等の支援者が、当該組織が信頼に足るものであるかどうかを判断するのは難しく、支援の障害となる可能性がある。フードバンクの信頼性確保のための仕組みを構築すべきであるが、政府の取組方針を示されたい。

三 現在、国内の組織は、それぞれの組織が持つ理念や地域特性等に応じた活動を展開しているが、共通の課題も多く、フードバンク間で連携することでより効率的・効果的な解決策が考えられる場合もある。フードバンク間の連携の強化を進めるべきであるが、政府の取組方針を示されたい。

四 欧米諸国のフードバンクでは、取りまとめ組織が国内のフードバンク活動の代表者として企業等への窓口となったり、行政、企業、一般市民等への普及活動、安定的に食品を確保するための食品調達・配分、フードバンク間のノウハウの共有等を担うなど、大きな役割を果たしている。我が国においても取りまとめ組織の設立が必要と考えられるが、政府の見解を示されたい。

五 食品を扱う以上、食品事故のリスクを完全に排除することはできない。フードバンク活動を行う組織等から、国内のフードバンク活動において食品事故が起こった場合に備え、フードバンク活動に係る関係者を守るための保険制度導入の必要性が指摘されているが、この点につき政府の見解を示されたい。

  右質問する。