質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八九号

平成二十六年十一月の「日中関係の改善に向けた話合い」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月十八日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   平成二十六年十一月の「日中関係の改善に向けた話合い」に関する質問主意書

 平成二十六年十一月に北京で開催されたAPECに合わせて日中首脳会談が行われたが、事前に日中の外交担当の高官が「日中関係の改善に向けた話合い」を持った。外務省のホームページによれば、「日中関係の改善に向け、これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた」として、四つの合意点(以下「四合意」という。)が示されている。
 現在の日中関係の出発点となった昭和四十七年の日中共同声明の前文において、「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する」と示され、両国関係の重要さが強調されているものの、隣同士の間柄であるからこそ国と国との利害が直接衝突することも否定できず、互いの信頼関係に基づく十分な話合いは欠かせない。
 このような観点から、以下質問する。

一 平成二十六年十一月に日中首脳会談の調整のために谷内正太郎国家安全保障局長と中国の楊潔国務委員が北京で行った会談は、どのように位置付けられるのか。すなわち、谷内氏の中国訪問はいかなる法令を根拠にするものか、具体的に示されたい。

二 平成二十六年十一月十三日の参議院外交防衛委員会で、四合意について岸田外務大臣は、「日中両国の間においては、これまで関係改善に向けて様々なレベルで静かな意思疎通を図ってまいりました。そして、その結果として、今回、日中関係につきまして両国の間で一致できるものにつきましてまとめることとなり、それを発表しましたのが今回の四項目の発表」であり、四合意について「法的拘束力のない文書」であると述べているが、我が国の政府高官が中国の楊国務委員と話合いを持ち、合意したこの文書の法的性質はどのようなものか、政府の見解を示されたい。

三 谷内局長が公務として北京に出張し、中国の国務委員と話合いをして合意点を確認する行為は、日本国憲法第七十三条第二項の「外交関係を処理すること」に含まれるものと考える。当該行為で生じた内容は、外交儀礼上、両国間で遵守されるべきものであり、谷内局長と楊国務委員の会談は一定の法的意味を持つと考える。この結果を「法的拘束力のない文書」であると主張することは、両国間の信頼関係を損ないかねないのではないか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。