質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八八号

日米防衛協力のための指針の見直しについての中間報告に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月十八日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日米防衛協力のための指針の見直しについての中間報告に関する質問主意書

 平成二十五年十月に東京で開催された日米安全保障協議委員会会合において、日米両国は、複雑な地域環境と変化する世界における、より力強い同盟のための戦略的な構想を明らかにした。これは、日本の安全に対する同盟の揺るぎない決意を再確認し、アジア太平洋地域における平和と安全の維持のために日米両国が果たす不可欠な役割を再確認するものである。これを踏まえて日米両国は平成九年の日米防衛協力のための指針(以下「現行ガイドライン」という。)の見直しを行うことを確認した。
 現行ガイドラインの見直しは日米両国の戦略的な目標、利益と一致し、アジア太平洋及びこれを越えた地域の利益となるものである。我が国にとって現行ガイドラインの見直しは、その領域と国民を守るための取組及び国際協調主義に基づく「積極的平和主義」に貢献するであろう。平成二十六年七月一日閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(以下「本閣議決定」という。)は、日本国憲法に従った自衛隊の活動の拡大を視野に入れている。現行ガイドラインの見直しは本閣議決定の内容を適切に反映し、同盟を強化し、抑止力を強化するものと期待するものの、現段階では日米両政府の協議が継続されているため、平成二十六年十月八日に示された「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」(以下「中間報告」という。)を見る限り曖昧な部分も残されている。
 他方、現行ガイドラインの見直しに反対する論者からの批判も少なくない。例えば、毎日新聞は、平成二十六年十月九日の社説で、「米軍支援が、地理的にも内容的にも際限なく拡大する懸念がある」と指摘している。安全保障に関わる日米両国の政府間協議が継続中であるとしても、国民に十分な説明を行い、理解を得ることは民主主義政治の根幹に関わるものであり、政府は国民の懸念を払拭することに不断の努力を尽くさなければならない。
 このような観点から、以下質問する。

一 中間報告にいう「米国政府全体としてのアジア太平洋地域へのリバランス」とは、具体的にはどのようなものを指すのか。専門家間では周知のことであったとしても、明確な定義が国民に示されない限り、現行ガイドラインの見直しの必要性が国民に理解されるとはいえない。「リバランス」の内容を具体的に示されたい。

二 現行ガイドラインでは、日米の防衛協力は、①平時、②周辺事態、③日本への武力攻撃事態、の分類ごとに規定されているが、中間報告では「平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目ない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる」と分類を撤廃する方針を示唆している。現行ガイドラインでいう「武力攻撃事態等」では、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律に基づき「武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針」を定めて国会の承認を求めなければならないが、「平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形」という場合、現行の手続を改正し、どのように切れ目のない形での個々のフェーズの認定を行うのか、大きな制度変更が生じるのか、政府の見解を示されたい。

三 中間報告でいうアセット(装備品等)の防護とは具体的にどのような行動を指すのか、政府の見解を示されたい。

四 中間報告では、これまでのガイドラインにはなかった宇宙、サイバー空間での協力を新たに盛り込んでいると承知しているが、このような宇宙、サイバー空間での武力攻撃等はどのように認定するのか、具体的に示されたい。

  右質問する。