質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八七号

与那国島への自衛隊レーダー施設の設置による健康被害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月十八日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   与那国島への自衛隊レーダー施設の設置による健康被害に関する質問主意書

 現在、政府は、南西地域における防衛態勢の強化の一環として、与那国島に陸上自衛隊の沿岸監視部隊の配備を進めている。同部隊は、レーダーシステムを含む沿岸監視器材を配置すると承知している。レーダーの電磁波については、人体に対する健康被害が指摘されているところであるが、同島の住民はそうした健康被害に懸念を示している。そのため、レーダーシステムの種類、設置予定地等について明らかにした上で、住民の健康被害に対する認識、対策等について確認しておく必要がある。
 よって、以下質問する。

一 与那国島に配備が予定されている陸上自衛隊の沿岸監視部隊に関し、その部隊の概要、施設の建設予定地(建設予定地が複数ある場合、レーダーシステムを含む沿岸監視器材を配置する予定地を特定されたい)、施設の概要(用途、面積、建物数及び種別)、レーダーシステムを含む沿岸監視器材の概要(配置器材の種類、レーダーシステムの種類・名称)及び地元に対する部隊配備や施設建設の説明状況について明らかにされたい。

二 与那国島に設置される自衛隊のレーダーシステムによる住民に対する健康被害への懸念に関して、当該レーダーシステムの設置場所と民家や公共施設までの最短距離、レーダーの出力数値について明らかにするとともに、防衛省による、レーダーの照射に係る住民の電磁波ばく露の状況や健康被害のおそれについての検証状況、そうした検証状況等の住民に対する情報開示の状況、健康被害が生じた場合の対策についての検討状況を明らかにされたい。

三 電磁波による人体への影響については、刺激作用及び熱作用があることが科学的に証明されており、政府も認めているところである。レーダーなどの強い電磁波にばく露される可能性のある施設の近くでは、住民が健康被害を受けるおそれも考えられる。現在、我が国は国際非電離放射線防護委員会が定めた電磁波の健康への有害な影響を防止するためのガイドラインを踏まえ電磁波の強度に係る基準を定めている。他方、国内外で同ガイドラインよりも低い強度の電磁波による健康被害に関する研究結果が示されているほか、二〇〇八年九月には欧州議会において、電磁波に関する現在の基準が妊婦や新生児等の脆弱なグループには不十分であることを批判する決議が、二〇一一年五月には欧州評議会議員会議において、子供などへのばく露が増大しており予防原則を適用して限界値を修正すべきとの決議が、それぞれ採択されている。こうした指摘を踏まえ、更なる調査・分析を進めるとともに、現在の基準を再検討し、健康被害対策等の策定も行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。