質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六八号

資産効果に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月十二日

櫻井 充   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   資産効果に関する質問主意書

 平成二十六年十一月四日の参議院予算委員会における私の質疑に対して、安倍内閣総理大臣は「経済学者が分析する資産効果として申し上げたわけでありまして、資産効果としては、言わば賃金が上がった場合、賃金が上がっていくというのは、まさにそれぞれの勤労者にとって一年間一生懸命頑張った結果でありますから、その支出については当然慎重に考えていくわけでございますが、株価については、株価が上がったものに対しましては、これはすぐに消費に回る傾向が分析の結果高いというのが事実でありまして、言わば資産効果としての意味について私は申し上げたわけでありまして、資産効果として株価が高いというのは、これは多くの経済学者が指摘しているところではないかと思います。」との答弁を行った。
 そこで、この答弁を基に、以下質問する。

一 「株価が上がったものに対しましては、これはすぐに消費に回る傾向が分析の結果高いというのが事実」であるとの答弁について、その根拠及び学説を明示されたい。

二 「資産効果として株価が高いというのは、これは多くの経済学者が指摘しているところではないかと思います。」との答弁について、株価の上昇による資産効果が賃金の上昇による経済への効果より高いとの認識を述べたものと受け止めている。
 そうであれば、この答弁で言う「多くの経済学者」とは具体的に誰を指しているのか。また、どのような論文で指摘されているものであるのか。その根拠及び学説を明らかにされたい。
 加えて、私の受止めと答弁の趣旨が異なるのであれば、改めて具体的な根拠及び学説とともに詳細に明らかにされたい。

三 「量的・質的金融緩和」の効果によって資産が増えた国民の割合は、どの程度と認識しているのか。また、アベノミクスによる恩恵がいまだ行き届いていない国民の割合は、どの程度と認識しているのか。

四 第一次安倍内閣当時の経済状況を見ると、日経平均株価が一万七千円台から一万八千円台で推移した時期があるなど、株式市況は比較的活況を呈しており、上場企業の経常利益についても過去最高を更新していた。その一方で、企業の利益が必ずしも賃上げに結び付いていたわけではなく、多くの国民にとっては実感なき景気回復であったとも言われている。
 いわゆるトリクルダウン理論に基づく政策は非効率であり、中間層をしっかりとしたものとする政策を講ずることが、より多くの国民に恩恵をもたらすものであると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 十月三十一日に日本銀行が「量的・質的金融緩和」の拡大を決定したことを受け、円安・株高が進展している。日経平均株価は十一月十一日の終値で一万七千円を上回り、年初来高値を更新した。しかし、日経平均株価をドル建てに換算した「ドル建て日経平均」では、昨年や今年の高値を更新するには至っていないと見られる。このことから考えて、最近の株価上昇は、金融緩和が急激な円安を誘導したことによる為替要因がもたらしたものであって、我が国経済の実勢を必ずしも反映していないと考える。
 こうした株価上昇により、企業や家計の保有金融資産の評価額が上昇したとしても、実質的な資産の価値が増加したと受け止めることはできないと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。