質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五七号

拉致被害者救出に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月五日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   拉致被害者救出に関する質問主意書

 北朝鮮による拉致被害者らの調査を巡り、日本政府代表団は十月二十八日及び二十九日、平壌で北朝鮮の特別調査委員会との協議を行った。国家主導で行われた拉致に調査の時間など要しないはずであるが、北朝鮮はいたずらに時間をかけることで、進展に向けた成果が上がらない安倍政権への国内世論の不満を増幅させ、政府の譲歩を引き出そうとしている意図が明白である。拉致問題を交渉カードに使うこと自体が人道的観点から見て許しがたいことであり、これまでのように対話を続けても同じことの繰り返しになるのではないかと懸念する。
 そもそも、他国に不法侵入し他国民を拉致する行為は、明確な国家主権の侵害であり、国際法上も侵略行為と定義される。同胞が囚われの身となって三十年以上が経過しながら救出できないというのは、日本が主権を守れない国であることを内外に示しており、拉致被害者の家族にとっては我が国が「平和な国」とは到底思えぬまま月日が経過し、再会が果たせず亡くなる家族も増えている。これに関して、以下質問する。

一 安倍総理大臣はかねてより「対話と圧力」の姿勢を強調してきたが、対話が通じない相手には相応の圧力が必要である一方、日本がこれまでに行った圧力は経済制裁の強化か朝鮮総連本部ビル売却問題でしかない。より相手に痛みを伴う圧力を用意する必要があると思われるが、他に想定される手段があるのかどうか、示されたい。

二 拉致された同胞を救出するため、最終的な手段として自衛権を行使し実力行使で救出する行為は、「国民主権」や「基本的人権の尊重」からも合憲と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 北朝鮮は日本人遺骨の調査に重点を置いており、遺骨ビジネスで外貨を稼ぐ目算があると思われる。拉致被害は生存に関わる問題であり、被害者家族も高齢化し一刻を争う問題である以上、拉致被害者の調査を遺骨帰還の問題と切り離し、調査結果の明確な期限を設けて北朝鮮側の引き延ばし作戦を断ち切る決意を示す必要があると思われるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。