質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四四号

靖国神社の例大祭への勅使の参向に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二十七日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   靖国神社の例大祭への勅使の参向に関する質問主意書

 靖国神社では、幕末以来、日清戦争、日露戦争、満洲事変、支那事変、太平洋戦争などの国難に際して、尊い生命を捧げられた二百四十六万余の方々が、身分や勲功、男女の別なく、祖国に殉じられた尊い神霊として祭祀の対象として扱われている。
 しかしながら、太平洋戦争後のある時期から、靖国神社への首相をはじめとする閣僚の参拝に近隣諸国からの反発が生じはじめる。平成十八年の小泉首相の参拝以後、歴代の首相が靖国神社に参拝することはなかったが、平成二十五年十二月二十六日の安倍首相の参拝により、中国、韓国の両政府から再び反発が生じることになった。例えば、平成二十六年秋季例大祭では、中国政府の報道官は、安倍首相がポケットマネーで靖国神社に真榊を奉納したことも批判の対象としている。
 他方、靖国神社のホームページには、「靖国神社で最も重要な祭事は、春秋に執り行われる例大祭です」とし、秋季例大祭については、「春季例大祭と同様、当日祭には天皇陛下のお遣いである勅使が参向になり、天皇陛下よりの供え物(御幣物)が献じられ、御祭文が奏上されます」とあり、天皇からの勅使の参向は続いている。勅使は天皇の意思を直接伝える使者であり、神道の教義上、天皇が参拝することと形式的には差はない。
 このような観点から、以下質問する。

一 過去十年間の首相及び閣僚の靖国神社参拝の事例について、具体的に示されたい。

二 首相、外務大臣、官房長官の靖国神社参拝は自粛するとの了解があると中国政府側からしばしば主張されるが、このような了解は存在するのか、政府の見解を示されたい。

三 第二次安倍内閣成立後、首相の靖国神社参拝並びに真榊及び玉串料の奉納について中国、韓国の両政府から抗議は行われたのか、具体的に示されたい。

四 靖国神社への天皇の勅使の差遣(以下「勅使差遣」という。)は、天皇のどのような行為に該当し、日本国憲法上のどの条文を根拠とするのか、具体的に示されたい。

五 勅使差遣に対して、過去に他国の政府が抗議等を行った事例はあるのか、具体的に示されたい。

六 これまで勅使差遣に対して近隣諸国は反発していないと思われるが、これは、いわゆる「A級戦犯」を含めて靖国神社に祭祀されている神霊に対する天皇の参拝行為を問題視していないためである。他方、首相や閣僚の参拝並びに真榊及び玉串料の奉納に対して抗議を繰り返す近隣諸国の行為は整合性を持たないもので、首相や閣僚の参拝等を意図的に政治問題化しようとする目的がある。このような事実関係を政府が国際社会に適切に広報することは、日本の国際的な威信を保ち、本年の全国戦没者追悼式における天皇のおことばにもあるように、「戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈」るために欠かせないものであると思われるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。