質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四一号

拉致被害者及び特定失踪者の個人情報保護に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二十三日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   拉致被害者及び特定失踪者の個人情報保護に関する再質問主意書

 平成二十六年九月二十九日付けで提出した「拉致被害者及び特定失踪者の個人情報保護に関する質問主意書」(第百八十七回国会質問第三号)に対する答弁書(内閣参質一八七第三号)(以下「先の答弁」とする)を踏まえ、個人情報保護の観点から、以下再質問します。

一 本年八月、全国の都道府県警察は、特定失踪者の家族と面談し、現在、警察のホームページで公開している程度の個人情報を、わが国政府が北朝鮮に提供する状況になったとき、すぐに出せるよう準備しておくためとの理由で、家族に対し同意書(以下「同意書」とする)の提供を求めています。個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)(以下「個人情報保護法」とする)は、その同意書の提供に関する業務に対して適用されますか。適用されない場合は、提供を求める根拠法令及び条文をお示し下さい。

二 個人情報保護法は、北朝鮮によって拉致された可能性を排除できないとして政府ホームページに記載された三十数名に対する同意書の提供に関する業務についても適用されますか。適用されない場合は、提供を求める根拠法令及び条文をお示し下さい。

三 政府は平成十八年二月に行った日朝包括並行協議において三十四名のリストを北朝鮮に提供しています。個人情報保護法は、この三十四名に対する同意書の提供に関する業務についても適用されますか。適用されない場合は、提供を求める根拠法令及び条文をお示し下さい。

四 個人情報保護法は、本年五月の日朝合意において北朝鮮側が調査を行うことになった残留日本人や日本人遺骨問題の該当者に対し、前記一と同様の同意書の提供を今後求めるならば、そのときも適用されますか。適用されない場合は、提供を求める根拠法令及び条文をお示し下さい。

五 北朝鮮の再調査の結果、拉致被害者及び特定失踪者の生存や死亡が確認された場合、これらの個人情報は広く国民に公開されますか、政府の見解をお示し下さい。また、これらの個人情報の公開には被害者家族の同意が必要ですか。公開・非公開のケースについて、それぞれ根拠法令及び条文をお示し下さい。

六 先の答弁三において、政府は、「今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」と答弁しています。今後の対応とはどんな対応のことでしょうか。また、支障を来すとは誰にどんな支障を及ぼすのでしょうか、具体的にお示し下さい。

七 先の答弁四において、政府は、「北朝鮮は、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を行っていると承知している」との答弁をしています。何を根拠に全面的な調査を行っていると承知したのですか。承知に至る具体的根拠をお示し下さい。

八 政府は、私が平成二十五年五月二十三日付けで提出した「政府・拉致問題対策本部ホームページに関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第一〇六号)に対する答弁書(内閣参質一八三第一〇六号)の中で、「政府が北朝鮮によって拉致された可能性を排除できない者として北朝鮮に対し情報等を提供し調査を求めている三十数名については、全員御指摘の八百六十八名の中に含まれている」と答弁しています。本年八月に全国の警察を通じて特定失踪者の家族から同意書の提供を求めたことは、三十数名、あるいは三十四名について後付けの対応として同意書の提供を求めるのがその目的ではなかったのですか、政府の見解をお示し下さい。

九 先の答弁六及び七において、政府は、「御指摘の情報提供に至る過程については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」と答弁しています。今後の対応に支障を来すおそれがあるとは具体的にどのようなケースなのかを明らかにしてください。あわせて、答えを差し控えたいとは、政府が国民の知る権利を一方的に阻害する行為ではないのか、この点につき政府の見解をお示し下さい。

  右質問する。