質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二九号

川内原発三十キロメートル圏内の避難計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月十七日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   川内原発三十キロメートル圏内の避難計画に関する質問主意書

 本年九月十二日の原子力防災会議において、安倍総理は、九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原発」という。)の避難計画について具体的かつ合理的であることを「確認」、「了承」したと発言しているが、その内容は実現性が乏しく、国が責任を負う体制になっていない。具体的には以下の点を指摘できる。
 ① 十月十五日、内閣府原子力防災担当室は私に対し、川内原発から十キロメートルから三十キロメートル圏の病院や社会福祉施設二百二十七か所(以下「二百七十七機関及び施設」という。)については、個別の避難計画は不要と説明した。
 ② 八月七日の衆議院原子力問題調査特別委員会において、内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長は、十キロメートル以遠について「一対多あるいは一対一の対応の計画をつくったところで、現実問題としてそれはワークしない」、「事前には一対一対応はしない」と答弁している。
 ③ 「週刊金曜日」の八月二十九日号によれば、八月二十一日に行われた市民団体との席上で原子力規制庁は、「避難先や移動手段が決まっていなくても、事故が起きた時に調整する仕組み(調整委員会など)さえ決まっていれば可」と答えたとのことである。
 ④ 鹿児島県保健福祉部長が昨年九月十三日に発出した「県地域防災計画原子力災害対策編に基づく医療機関等の避難計画について(通知)」(以下「鹿児島県通知」という。)では、「三十キロメートル圏内の(中略)医療機関や社会福祉施設(中略)は、避難計画を作成すること」と記載されている。
 ⑤ 鹿児島県いちき串木野市の避難計画においても「施設入所者については、安全な地域の施設への移動入所対応を前提とし、各施設管理者が定める避難計画に基づき対応する」とあり、これまでの国の説明とは明らかに矛盾している。
 右の点を踏まえて、再稼働は認められないとの観点から、以下質問する。

一 内閣府原子力防災担当室は、十月十五日に、私が示すまで、鹿児島県通知を見たことがなかったと弁解しているが、それは事実か。

二 前記一に関して、内閣府原子力防災担当室は、前文⑤のいちき串木野市の避難計画も十月十五日まで見たことがなかったのか。

三 十月十六日、鹿児島県に対し、鹿児島県通知について確認した内閣府原子力防災担当室は、前日までの発言を翻し、当該機関・施設は個別の避難計画は作るが、避難先は定めないなどと私に説明したが、結局、川内原発三十キロメール圏の医療機関、社会福祉施設は、個別の避難計画を策定する必要があるのか、ないのか。

四 前文②の答弁にあるように、十キロメートル圏内の個別施設の避難計画と異なり、十キロメートル以遠については一対一の対応をしない、つまり避難先や移動手段を定めなくても、それを二〇一三年十月の国の指針「共通課題についての対応方針」(以下「対応方針」という。)で言うところの「入院患者・入所者の避難に関する計画」と言えるのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 二百二十七機関及び施設の管理者は、九月十二日の原子力防災会議当日はもちろん、本日にいたるまで、個別の避難計画を作成することについて、国からも県からも市からも具体的な支援を受けていないとのことだが、事実か。

六 そもそも鹿児島県通知は、対応方針に基づいた真っ当な内容であり、個別の避難計画は本来必要である。鹿児島県通知において県や市が二百二十七機関及び施設に個別の避難計画を作成するとしていることも知らずに、原子力防災会議が川内原発の避難計画を「確認」、「了承」した事実は、自治体や施設、さらには地域住民、施設入所の弱者を軽視していることにほかならないのではないか、政府の見解を明らかにされたい。

七 安倍総理の言う「確認」や「了承」は形だけであり、国は川内原発の避難計画に責任を持つどころか、支援さえできていないとの批判を甘受せざるをえないと考えるが、いかがか。

  右質問する。