質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八号

朝日新聞の慰安婦記事訂正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月六日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   朝日新聞の慰安婦記事訂正に関する質問主意書

 朝日新聞が八月五日付け朝刊で、朝鮮人女性を強制連行したと述べた吉田清治氏の証言を「虚偽」と認める慰安婦報道の検証記事を掲載した。これに関して、以下質問する。

一 慰安婦問題が注目される端緒となった「旧日本軍による強制連行」が否定されたにもかかわらず、国外では「慰安婦問題の本質に影響はない」、「広い意味での強制性はある」という認識にとどまっている。慰安婦像は韓国や豪州だけでなく米国においても既に六箇所設置され、新たに設置する動きもある。多くの慰安婦像の碑文には「日本軍が二十万人以上の慰安婦を強制連行して集めた」、「慰安所では慰安婦は性奴隷扱いだった」と記され、見学者の事実誤認に歯止めがかからない状況が続いている。また、一九九六年の国連人権委員会では「military sexual slavery」という言葉で強制連行の事実を認めたクマラスワミ特別報告者による報告書(以下「クマラスワミ報告」という。)が提出されている。国の名誉が傷つけられたままのこうした現状を改める考えはあるのか、政府の見解を明らかにされたい。また、現状を改める考えがあるとすれば、どのような方策を講じているのか、併せて示されたい。

二 強制連行の地とされた済州島では、地元紙の済州新聞が一九八九年に「証言の裏付けが取れない」として信憑性に強い疑問を呈している。現代史家の秦郁彦氏も一九九二年の現地調査でそのような事実が存在しなかったことを明らかにした。また、吉田氏本人も一九九五年以降に証言が自身の創作であったことを関係者やメディアに語っている。こうした事実が存在しながら、二十年もの間、朝日新聞は虚報を放置し訂正・謝罪を一切行わなかった。今回の検証記事でも国内読者に対しては限定的な謝罪をしたものの、国民に対する謝罪は掲載せず、国外に向けての正確な訂正も行っていない。「表現の自由」によって誤報や虚報が放置され、国民の尊厳を傷つけるような状況が生じた場合、どのような形で原状回復し、国民への損害を償うべきだと考えるか、政府の見解を示されたい。

三 一九九三年のいわゆる「河野談話」では、慰安婦の募集について「官憲等が直接これに加担したこともあった」、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」として、反省とお詫びの意を示した。この談話が国外では「日本政府が強制連行を認めた」根拠とされ、クマラスワミ報告にも引用されている。安倍総理は本年十月三日の衆議院予算委員会で、河野談話を「継承する」として改めて見直しを否定したが、強制連行が虚偽と確定した以上、見直しを検討するか、新談話を発表すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。