質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

北方領土の現況等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月六日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   北方領土の現況等に関する質問主意書

 我が国は、来る二〇一五年に戦後七十周年を迎える。しかし、我が国固有の領土である北方領土がいまだロシアにより不法占拠されている状況は、非常に遺憾であり、政府は北方領土返還の実現に向けてたゆまぬ努力を続けていかなければならない。
 さて、私は、本年六月二十六日から三十日にかけて、北方四島訪問事業(いわゆるビザなし交流)に参加し、国後島及び択捉島を訪問した。両島においては、ロシア政府の実施する「クリル諸島社会経済発展プログラム」によって、道路整備・舗装、港湾整備、空港整備等が進められ、社会基盤が充実してきており、あわせて島外資本の水産加工会社等の進出や海外資本の導入により経済が発展している状況を目の当たりにした。
 また、訪問時に直接確認はできなかったが、北方領土ではロシア軍による軍事拠点の整備が進められ、大規模な軍事演習も行われていると仄聞している。
 今後、北方領土返還交渉を進めるに当たって、こうした北方領土の現状について、政府は十分に把握し適切に対応しなければならないと考える。
 よって、以下質問する。

一 「クリル諸島社会経済発展プログラム」に関して、同プログラムの具体的な内容、予算額及びその成果について、政府が把握している状況を明らかにされたい。

二 現行の「クリル諸島社会経済発展プログラム」の実施期間は二〇一五年までと承知しているが、同プログラム終了後の北方領土に対するロシア政府の開発計画等の対応について、政府が把握している状況を明らかにされたい。

三 北方領土返還後、我が国の開発計画を進めるに当たって、北方領土におけるロシア側の公有財産及び私有財産の取扱いをどのように考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。あわせて、施政権の移行に係る手続等の諸課題に関する政府の検討状況についても明らかにされたい。

四 北方領土及びその周辺地域における、ロシアの軍事力について、ロシア政府の安全保障政策も含めて、政府の把握している状況を明らかにされたい。その上で、我が国の防衛力整備等の対応についても明らかにされたい。

五 本年八月及び九月に北方領土において、ロシア軍の演習が実施されたと聞いている。政府として、これらの演習がどのような意図や規模で行われたと把握しているのか、また、これらに対して政府として抗議を行ったのか、対応状況について明らかにされたい。

六 現状のロシアの北方領土への対応に鑑みると、将来的に北方領土にロシアの軍事基地が建設されることも予想される。仮定の質問への回答はなされないことが多いと承知しているが、政府としてかかる事態を想定することも必要であると考える。北方領土における将来的なロシアの軍事基地建設の可能性について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。