質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

団体信用生命保険に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二日

荒井 広幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   団体信用生命保険に関する質問主意書

 団体信用生命保険は、主として長期の返済期間が設定される住宅ローンの債務者(借り手)を被保険者として加入するものであり、債務者が返済途中で死亡又は高度障害となった場合に、生命保険会社から金融機関に対し支払われる保険金により、ローンの残債務等が弁済されるという仕組みを提供する保険商品である。
 しかし、住宅ローンを利用する一般の消費者から見た場合、その商品設計や具体的な取扱いに関して不透明な部分が極めて多い。私はこれまで、平成十八年六月五日及び十二日の参議院行政監視委員会を始めとして、国会審議の場でしばしばこの問題を取り上げ、政府との議論を行ってきたが、こうした不透明な部分は今日に至っても解消しているとは言えない。
 団体信用生命保険の商品設計や説明内容の改善に向けて、金融機関や生命保険会社が責任を果たすべく、第二次安倍内閣では消費者・利用者の立場に立って改善できるものと信じている。
 そこで、以下質問する。

一 住宅ローン契約に当たって加入する団体信用生命保険の商品設計及び具体的な取扱いの実態について、金融機関及び保険会社を監督する政府として承知しているところを詳細に示されたい。

1 団体信用生命保険の保険料は、保険契約者である金融機関が保険契約上負担すべき立場にあると考えるが、実際には保険料相当額が住宅ローンの金利負担の中に含まれているとの指摘がある。この指摘は事実であるのか。事実でないのであれば、金融機関はいかなる原資をもって保険料を負担しているのか。
2 保険料相当額が住宅ローンの金利負担の中に含まれる場合、おおよそ金利〇・三パーセント程度に当たるとの指摘があるが、実態はいかがか。
3 団体信用生命保険は、住宅ローンの債務者に死亡等の保険事故が発生した際に、住宅ローンの残債務等に相当する額を保険金として支払うものであるから、返済が進み残債務等が減少するにつれて、保険金額も当然に減少すると考えるが、実態はいかがか。
4 金融機関は、債務者が返済途中で死亡した等の場合、保険会社から金融機関に保険金が直接支払われ、確実にローン債権を回収できることから、住宅ローン契約に当たって団体信用生命保険への加入を条件としていることが一般的であると指摘されている。
 住宅ローン契約に当たって団体信用生命保険の加入を条件としている金融機関は、どの程度存在するのか。

二 死亡等の際に住宅ローンの借入額及びその後生じ得る利息に相当する額の保険金が支払われる生命保険等を、住宅ローン契約の時点までに債務者が任意に締結しているのであれば、団体信用生命保険に重ねて加入しなくとも、万一の際に同様の効果を受けることが十分に期待できると考える。
 そこで、このような場合には、団体信用生命保険の加入を一律に求めることなく、債務者に選択の機会を与えるよう、金融機関に義務付けるべきと考えるが、いかがか。

三 金融機関が団体信用生命保険の保険料の内訳を債務者に開示すべきとの私の質疑に対して、金融庁は、貸出金利が金融機関の経営判断で決定されるものとの答弁を行っている。
 しかし、仮に、団体信用生命保険の保険料相当額が住宅ローンの金利負担の中に含まれているとすれば、融資と保険という別個の金融商品・サービスの提供を受けているにもかかわらず、その対価が区別されていないこととなり、住宅ローン契約者に対して金融商品の説明義務が果たされていないことになる。
 そこで、金融機関及び保険会社に対し、保険料相当額を金利負担と明確に区分した説明を義務付けるべきと考えるが、いかがか。

  右質問する。