質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

我が国の国連安保理常任理事国入りに取り組む政府の姿勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国の国連安保理常任理事国入りに取り組む政府の姿勢に関する質問主意書

 国際連合(以下「国連」という。)は、一九四五年十月二十四日に発足した。国連は、第二次世界大戦が引き起こした鋭い対立や多くの審議の場となった。その後の冷戦による世界の二分化にもかかわらず、世界平和に対して大きな貢献をしてきた。二十一世紀初頭の現在、世界と全ての人々が直面しているグローバルな変革の中で国連はより一層今日的な意義を持っている。
 政府は、環境・気候変動、核軍縮・不拡散、紛争解決や平和構築、貧困等、外交において主要課題として顕在化する様々な分野で国連が重要な役割を果たすとして、日本自身の持続可能な成長のためにも、これら諸課題に取り組むため、国連と連携する姿勢を示している。
 このような観点から、以下質問する。

一 国連との連携を重視する政府は、国連の安全保障理事会(以下「安保理」という。)の常任理事国入りに向けても積極的に取り組んでいると承知しているが、日本が安保理の常任理事国入りによって得られる利益はどのようなものか、具体的に示されたい。

二 外務省のホームページの国連に関する記述で、「日本は二〇一五年十月に行われる安保理非常任理事国選挙に立候補しています。この選挙に当選することで、国際の平和と安全のためにより一層貢献できます。」との見解が示されている。日本の非常任理事国当選は常任理事国入りを含む日本の国連での活動の一環と位置付けられ、常任理事国入りと非常任理事国に当選することには密接な関係があると思われるが、政府は常任理事国入りと非常任理事国当選をどのように関連付けているのか、具体的に示されたい。

三 安倍首相が二〇一四年九月、バングラデシュのハシナ首相と会談した際、ハシナ首相より、バングラデシュ独立以来、日本とバングラデシュが歴史的に極めて友好的な関係を有してきたことを踏まえ、両国間関係の一層の促進のため、日本の二〇一五年選挙立候補を支持し、バングラデシュの立候補を取り下げる旨言及がなされ、安倍首相より、この決断に深く感謝し、高く評価する旨伝えるとともに、この英断は日バングラデシュ関係を更なる高みに引き上げるものとの表明があった。この安倍首相のバングラデシュ訪問の際に交わされた「二〇一四年から今後四~五年間で最大六千億円の支援を行う」という経済協力の内容について、具体的に示されたい。

四 前記三の経済協力に関して、内外のメディアからは、日本の非常任理事国当選のためにバングラデシュに与えられた対価ではないかとの指摘がなされている。この指摘について、政府の見解を示されたい。

五 日本が多額の経済協力を与える約束をしたと同時に、バングラデシュが非常任理事国への立候補取下げを宣言したことは、経済的な弱者でもある、国連加盟のアジアやアフリカの発展途上国にむしろ屈辱を与えるものではないか。これらの国々が国連で持つ合計の票数は大きく、今後の日本の常任理事国入りに悪影響を及ぼしかねないと思われるが、政府はこれらの国々に今回の経緯を丁寧に説明しているのか、政府の取組を示されたい。

六 国連憲章第五十三条、第七十七条及び第百七条(以下「旧敵国条項」という。)は、現在、事実上死文化していると認識されている。日本はドイツとともに、一九九五年の国連総会において、旧敵国条項を憲章から削除する決議案を提出し、賛成多数によって採択されている。他方、旧敵国条項を憲章から実際に削除するためには、憲章の改正手続が必要であり、さらには改正後の憲章は各国での批准を要する。批准は各国議会の判断するところであり、容易なことではない。しかしながら、憲章に旧敵国条項が残されたままでは、政府の取り組む常任理事国入りにも重大な影響が生じると思われる。常任理事国は、第二次世界大戦の旧連合国の主要国と重なっており、政府が常任理事国入りに取り組むのであれば、旧敵国条項を憲章から削除することにも積極的に取り組むべきではないか、政府の取組について具体的に示されたい。

  右質問する。