質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

我が国のイスラム教徒に供する食品のハラール認証の現状に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国のイスラム教徒に供する食品のハラール認証の現状に関する質問主意書

 イスラム法上合法な食品をハラール食品と呼び、ハラール認証とは、イスラム法上合法であることを表す認証を意味している。マレーシアやインドネシア、サウジアラビア、UAEでは、政府機関若しくはそれに準じる公的機関が食品のハラール認証を行い、その認証を表示した商品が市場に流通している。
 我が国においてはいくつかの任意団体が食品のハラール認証を行っているが、海外のイスラム教国にこれらのハラール認証を受けた食品を商品として輸出したところ、現地ではイスラム法上合法であるとは認められなかったというトラブルが多発している。このようなトラブルを放置すると、日本は大きな食品輸出市場を失いかねない。
 このような観点から、以下質問する。

一 我が国では、ハラール認証についての統一規格がなく、任意団体がハラール認証を行っているものの、必ずしもイスラム法上合法ではないという認識が海外のイスラム教国で広がり、日本からの食品流通の阻害要因になっている。政府はこのような海外でのトラブルについて把握しているのか、具体的に示されたい。

二 現在、政府内に食品のハラール認証に関する研究会が設置されていると承知しているが、研究会の進展状況はどのようなものか示されたい。

三 農林水産省食糧産業局輸出促進グループが事務局を務める「ハラール食品輸出モデルの策定事業」の実行委員会メンバーについて、日本に在住するイスラム教徒からはパキスタン系の専門家に偏っているのではないかとの指摘がある。このような人選では、他国では認められにくい「パキスタンの認証」になるのではないかとの懸念が表明されている。政府がハラール食品輸出モデルの策定事業を行う場合、多様なイスラム文化圏に配慮する必要があると思われるが、政府の取組について具体的に示されたい。

四 周知のように、日本食の海外での評価はとても高く、政府は強い農業づくりの支援にも力を入れている。現在、世界のムスリム人口は世界人口の四分の一を超えており、国際的に高い評価を持つ日本食を海外に輸出することは、政府の成長戦略の大きな柱として位置付けることもできる。日本の食品をイスラム教国に輸出するためには、ハラール認証を政府機関などが主導して行うべきである。将来的に任意団体にハラール認証を委ねるとしても、公的機関などで統一的な基準を設け、イスラム法上合法なハラール認証を行う制度を日本国内に確立する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。