質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についての一問一答」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年九月二十九日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についての一問一答」に関する質問主意書

 政府は平成二十六年七月一日、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定(以下「本閣議決定」という。)を行った。
 日本を取り巻く世界情勢は一層厳しさを増し、あらゆる事態を想定して、国民の命と平和な暮らしを守るため、切れ目のない安全保障法制を整備する必要があると考えるものの、立憲主義的視点による手続も欠かせない。
 このような観点から、以下質問する。

一 政府は本閣議決定に関連して内閣官房のホームページに、「「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答」を掲載しており、問四において「解釈改憲は立憲主義の否定ではないのか?」(以下「本件問四」という。)と記載しているが、ここでいう「立憲主義」の定義を示されたい。

二 本件問四に対し、「今回の閣議決定は、合理的な解釈の限界をこえるいわゆる解釈改憲ではありません。これまでの政府見解の基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果であり、立憲主義に反するものではありません。」との記述があるが、「政府見解の基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果」の定義を示されたい。

三 立憲主義的要請に立つ憲法の基本原理は三権分立である。国会の決議などが関与していない本閣議決定は、内閣を中心とする行政権の中で議論されただけであり、三権分立の原理に基づいたとは言えない。前記二に関して、仮に「基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果」と政府が判断したとしても、それが「合理的なあてはめ」ということが妥当か否かを確認するために国会があり、その確認は立憲主義の要請するところである。本閣議決定の手続は立憲主義を否定あるいは軽んじていると思われるが、政府の見解を示されたい。

四 本来、このような我が国の安全保障政策の重要な変更になる意思決定に先立ち、立憲主義的視点に基づき、まず国会で集団的自衛権の行使容認の是非に関わる議論が行われ、決議等で政府に法整備を要請するという手続が取られるべきである。たとえ政府が「合理的なあてはめの結果」と主張しても、事案の軽重にかかわらず国権の最高機関である国会での議論が政府に優先されるべきであり、それが立憲主義の要請するところである。なぜ政府は国会での議論を先に求めなかったのか、見解を示されたい。

  右質問する。