質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七七号

内閣参質一八六第一七七号
  平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出米軍Xバンドレーダーの追加配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出米軍Xバンドレーダーの追加配備に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 お尋ねのXバンド・レーダー・システムの我が国への追加配備は、我が国に飛来する弾道ミサイル情報の確度及び同時追尾能力を更に向上させ、弾道ミサイル防衛により万全を期する必要性を踏まえたものであり、このことは、平成二十六年四月六日の日米防衛相共同記者会見において、ヘーゲル米国国防長官が同システムの配備によって日本の防衛力が強化される旨を発言する等、日米間の累次の協議等において確認されている。

一の3について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、Xバンド・レーダー・システムで得られた情報は、随時日米間で共有される。

一の4について

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において協議が進められているものと承知しており、現時点において、集団的自衛権の行使容認を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。

二について

 一般に弾道ミサイル防衛システムは、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散が我が国を含む国際社会にとって差し迫った課題となっている中で、弾道ミサイルによる攻撃が行われた場合に国民の生命や財産を守るという専ら防御的なものである。したがって、同システムの整備等により、「東アジアの平和と安定に資するものではなく、逆に、同地域における軍事緊張を拡大し、軍拡競争を煽ることにつながる」との御指摘は当たらないものと考えている。

三の1について

 工事着工日の情報を含め、米側との具体的なやり取りについては、相手国との信頼関係もあり、お答えを差し控えたい。

三の2について

 Xバンド・レーダー・システムの配備に係る米軍による工事について、防衛省は、平成二十六年四月十三日に開催した住民説明会等において、同システムの運用に係る施設の整備(第一期工事)が同年五月に着工され、同年十二月末完成予定である旨説明してきたところである。その後、同年五月二十六日、京丹後市及び京都府に対し、同月二十七日午前中から米軍による工事が実施される予定となった旨伝えたところである。
 具体的な工事着工日については、天候や工事の準備状況、関係機関との調整等によって変更される可能性があるところ、工事着工時においては作業員や重機等が往来することが予想されることから、住民の安全確保や警備等の要素をも総合的に勘案して、工事着工日の前日にお知らせすることとなったものである。
 防衛省としては、今後とも引き続き地元の方々の御理解を頂けるよう、丁寧に説明してまいりたい。

三の3について

 防衛省としては、御指摘の米軍による工事については、Xバンド・レーダー・システムの運用に係る施設の整備(第一期工事)が平成二十六年五月に着工され、同年十二月末完成予定であり、その後、生活関連施設の整備(第二期工事)が平成二十七年初め頃に着工され、平成二十九年初め頃に完成予定であると承知している。
 米軍の工事施工に係る安全対策としては、「通勤時間帯を避けるような作業時間帯を設定する」、「基本的に、日曜日、祝日は工事を行わない」、「建設現場を保護する柵等を設置する」、「騒音を最低限に抑える措置を講ずる」、「国道の出入り口に交通整理員を配置させる」といったことが実施されている。

四の1について

 防衛省は、地方公共団体からの要望も踏まえ、Xバンド・レーダー・システムの配備に伴う周辺環境への影響を検証するために、周辺地域の騒音調査、海上における電磁波の影響調査、海への排水による影響を計るための水質調査などを同システムの配備前後に実施することとしている。
 周辺地域の騒音調査の方法は、騒音計を用いて陸上三か所において二十四時間騒音を計測するものであり、海上における電磁波の影響調査の方法は、計測器を用いて、同システムの配備予定地の前面海域などにおいて電磁波の強度を計測するものであり、また、海への排水による影響を計るための水質調査の方法は、米軍経ヶ岬通信所の前面海域の水質の汚濁状況の調査を行うものである。
 なお、同システムの運用前の一回目の騒音、電磁波及び水質に関する調査結果については、平成二十六年六月十一日に防衛省近畿中部防衛局のホームページにおいて公表したとおりである。

四の2について

 Xバンド・レーダー・システムの出力等の詳細については、米軍の能力に関わるものであることから米国は公表しておらず、防衛省としても公表を差し控えている。
 政府は、発生する電磁波の強度等を含めた同システムの性能諸元を把握しており、同システムの米軍経ヶ岬通信所への配備に当たっては、万一にも人体に好ましくない影響を与えないよう、当該性能諸元や我が国政府及び米国政府がそれぞれ定めている電磁波の強度に係る基準を踏まえ、必要に応じて同システムの周囲に立入禁止区域を設定するなど、安全性を確保する措置を講じていくこととしている。

四の3について

 政府としては、日米間の様々なやり取りの中で、Xバンド・レーダー・システムの配備に当たっては、周辺環境や住民への安全に十分配慮するよう申し入れており、今後とも引き続き、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう働きかけてまいりたい。

五について

 御指摘の「事前調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「日本環境管理基準」は、在日米軍が作成し、運用しているものであることから、お尋ねについては、いずれも政府としてお答えする立場にない。いずれにせよ、政府としては、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう引き続き働きかけてまいりたい。

六について

 政府としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)については、手当てすべき事項の性格に応じて、日米地位協定第二十五条1に基づいて設置された日米合同委員会を通じた取組などにより、不断の改善を図ってきており、引き続き、一つ一つの問題を解決すべく最大限努力していく考えである。
 また、米軍関係者(米軍の構成員若しくは軍属又はそれらの家族をいう。以下同じ。)による事件・事故の防止については、継続的な取組が必要であると認識しており、政府としては、今後とも、米軍関係者による事件・事故の防止に向けて、米側と共に取り組んでまいりたい。