質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五七号

内閣参質一八六第一五七号
  平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福山哲郎君提出電力小売全面自由化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福山哲郎君提出電力小売全面自由化に関する質問に対する答弁書

一について

 電気の小売業への参入の全面自由化に関する今後の詳細な制度設計については、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループ等の公開の場で、広く一般の意見を求めつつ議論していきたいと考えている。また、詳細な制度設計の内容を定める政令、省令等については、今後、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三十九条に基づきパブリックコメントを行い、広く一般の意見を求める予定である。

二について

 電気の小売に係る料金の全面自由化は、送配電等業務の運営における中立性の一層の確保を図るための措置と同時期か、それ以降に実施する考えであり、御懸念の「電気料金自由化が実現しない限り、送配電部門の中立性の確保が進まない」という事態は生じないものと考えている。

三について

 現在、経済産業省は、一般電気事業者に対し、卸電力取引所における余剰電力の販売を促し、その結果のモニタリングを行っているところであり、また、電気の小売業への参入の全面自由化後、現在の一般電気事業者は、当分の間、みなし小売電気事業者として電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十二号。以下「改正法」という。)附則第十六条の規定に基づく供給義務を負うこととなるが、改正法附則第十八条の規定に基づき、みなし小売電気事業者に対しては当該供給義務を負う間、家庭等への小売供給に係る料金規制を経過措置として継続することとしている。電気事業者間の公正な競争環境の整備においては、このように、新規事業者と現在の一般電気事業者の関係を対等にとどめないという手法を用いることも考えられる。

四について

 電気の使用者の利益の保護を図る観点から、改正法による改正後の電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号。以下「新法」という。)第二条の十三第一項においては、小売電気事業者に対して、経済産業省令で定めるところにより、料金その他の契約条件を小売供給を受けようとする者に対して説明する義務を課しており、また、同条第二項においては、小売供給を受けようとする者に対し、料金その他の供給条件であって経済産業省令で定める事項を記載した書面を交付する義務を課しており、情報開示すべき内容やその様式については、経済産業省令やガイドラインにおいて定めることを予定している。

五について

 新法第十八条において、託送供給等に係る料金(以下「託送料金」という。)の公平性及び透明性を高めるという趣旨から、その値上げについては経済産業大臣の認可を受けなければならないこととしており、託送料金の認可に係る公開の場における審査等の過程を通じて、託送料金の原価に関する情報が広く国民に公開されることとなると考えている。また、託送料金は、事業者間の取引に係るものであり、一般送配電事業者が消費者と契約を締結するものではないことから、経済産業大臣が託送料金を認可する際に、広く一般の意見を聴くことを目的とした公聴会を開催する必要はないと考えているとともに、消費者庁との協議についても現時点で必要ないと考えている。

六について

 改正法附則第十八条において、現在の一般電気事業者に対し料金規制を経過措置として継続することとしており、御指摘の三段階料金についても当分の間維持する方針である。