第186回国会(常会)
答弁書第九一号 内閣参質一八六第九一号 平成二十六年五月十三日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿 参議院議員福島みずほ君提出犬猫殺処分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出犬猫殺処分に関する質問に対する答弁書 一について 環境省においては、飼い主のいない猫の引取数を削減するため、都道府県等の職員を対象とした講習会及び研修の実施、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の十分な理解の下に管理する対策(以下「地域猫対策」という。)の事例の紹介等を通じて、都道府県等の支援を行っているところである。 二について お尋ねの「事例」については、例えば、東京都新宿区及び長野県松本市における地域猫対策により、猫の引取数の削減に効果があった事例は承知している。 また、環境省において、そのような事例を収集し、パンフレット等で公表するとともに、地域猫対策の基本的事項を記載した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成二十二年二月環境省作成)を同省のホームページで公表している。 三について 政府としては、従前から、都道府県等において、引き取った犬及び猫の返還及び譲渡の取組を積極的に行っていると承知している。 四について 地方公共団体が実施する動物の収容施設の新築・改築・改修及び譲渡用専用スペースの設置を行う事業については、環境保全施設整備費補助金として、その事業に要する経費の一部を補助しているところである。 五について 御指摘の「安楽死」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「二酸化炭素を使用した殺処分方法」については、できる限り苦痛を与えず意識を喪失状態にし、心機能及び肺機能を非可逆的に停止させる方法と考えている。 六について 環境省において、都道府県等における殺処分の方法についての実態調査の結果を「動物愛護管理行政事務提要(平成二十五年度)」において示し、同省のホームページにおいて公表しているところである。 七について 御指摘の「売れ残った犬猫」の意味するところが必ずしも明らかではないが、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第七十九号。以下「改正法」という。)による改正後の動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第十条第三項及び第二十二条の四の規定については、都道府県等において、適正に施行されているものと考えている。また、同項第二号に規定する犬猫等健康安全計画に基づき、犬猫等販売業者において、犬猫が適切に飼養されるべきものであり、同法第二十二条の六第二項の規定による犬猫等販売業者が所有及び販売等した犬猫の数の届出により、都道府県等において、当該犬猫の数は把握され、必要に応じ、都道府県等が監視指導を行っていることから、御指摘の実態調査は、現時点では、行っていない。 八について 環境省のホームページにおいて、殺処分の削減に向けた都道府県等の様々な取組を公表しているところである。 九について 平成二十五年の動物の愛護及び管理に関する法律違反に係る事件の起訴人員に関する統計については、 現在集計中であるので、答弁することができない。 また、検察当局においては、同法違反に係る事件についても、個別具体の事案に即して、法と証拠に基づき、適切に処理しているものと承知している。 十について 環境省においては、都道府県等に対し、「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成二十五年五月十日付け環自総発第一三〇五一〇一号環境省自然環境局長通知)により、獣医師による通報の努力義務規定の新設や罰則の強化等、改正法の制定の趣旨及びその内容等を示すとともに、「所有者の判明しない犬又は猫その他の動物が拾得された場合の取扱い等について」(平成二十六年一月十四日環自総発第一四〇一一四一号環境省自然環境局総務課長通知)により、警察との連携等について技術的助言を行ったところである。 また、警察庁においては、改正法を踏まえ、都道府県警察に対し「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成二十五年八月一日付け警察庁丁生経発第一七八号警察庁生活安全局生活経済対策管理官通達)により、改正法の制定の趣旨及び概要並びに取締り上の留意事項を示し、その周知を図ったところである。 なお、お尋ねの刑事告発等に対しては、警察においては、個別具体の事案に即して、法と証拠に基づき、適正に対応しているところである。 十一について 御指摘の動物の所有者に係る終生飼養の責務については、政府としては、パンフレットの配布、ポスターの掲示、広告紙への掲載、環境省のホームページによる情報提供等を行うことにより、普及啓発を推進している。 また、動物の愛護及び管理に関する法律第四十四条第四項の愛護動物を虐待し、又は遺棄した場合には同条第二項又は第三項に規定する罰則の適用があることについても、引き続き広く周知してまいりたい。 十二について 御指摘の多数の動物の飼養については、環境省において、犬猫等の動物を管理できない程度に増やさないように不妊去勢手術を施すこと、動物がその命を終えるまで飼育する責務を徹底すること等について、広く普及啓発を推進しているところである。また、多数の動物の飼養が適正でないことに起因して虐待を受けるおそれがある事態が生じていると考えられる場合には、都道府県等が飼養状況を聴取するとともに、同省において、必要に応じて、都道府県等に対し、技術的助言を行っているところである。 また、御指摘の「アニマルホーダー」の意味するところが必ずしも明らかではないが、心のケアが必要な者に対しては、保健所又は精神保健福祉センターで、心の健康に関する相談を行っているところである。 |