質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第七四号

内閣参質一八六第七四号
  平成二十六年四月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員田村智子君提出国民健康保険・後期高齢者医療制度による医療機関受診の際の資格確認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出国民健康保険・後期高齢者医療制度による医療機関受診の際の資格確認に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の答弁は、全国健康保険協会における取扱いを示したものであるが、他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度においては、被保険者資格喪失後に被保険者証が回収されるまでの期間に被保険者証を提示して医療機関を受診した場合には、医療機関で療養の給付(以下「資格喪失後給付」という。)に要した費用について、個別の事案の状況を勘案しつつ、医療機関又は資格喪失後給付を受けた者に返還を求めているものと承知している。

二について

 国民健康保険の被保険者が、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号。以下「国保法」という。)第八条又は第二十一条の規定により被保険者資格を喪失したときは、国保法第九条第九項(国保法第二十二条において準用する場合を含む。)の規定に基づき、当該被保険者に係る被保険者証を返還しなければならないこととされているが、国民健康保険の保険者は、当該被保険者証の返還の有無や返還日等、被保険者証の返還に関する情報を記録することを義務付けられていない。

三について

 御指摘の国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)の資格管理システムについては、被保険者証の返還に関する情報を記録することができるものと承知しているが、国民健康保険の各保険者と各都道府県の国保連との間の委託契約に基づき運用されているものであることから、各都道府県の国保連が国民健康保険の診療報酬の審査及び支払を行う際に、当該情報を使用しているかどうかについては把握していない。

四について

 後期高齢者医療の被保険者が、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「高確法」という。)第五十三条の規定により被保険者資格を喪失したときは、高確法第五十四条第九項の規定に基づき、当該被保険者に係る被保険者証を後期高齢者医療広域連合に返還しなければならないこととされ、また、当該被保険者が後期高齢者医療広域連合の区域内においてその住所を変更したときは、高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成十九年厚生労働省令第百二十九号)第二十三条の規定に基づき、その旨の届書を後期高齢者医療広域連合に提出しなければならないとされているが、後期高齢者医療広域連合は、当該被保険者証の返還の有無や返還日等、被保険者証の返還に関する情報を記録することを義務付けられていない。

五について

 御指摘の後期高齢者医療広域連合電算処理システムについては、被保険者証の返還に関する情報を記録することができると承知しているが、各後期高齢者医療広域連合において運用されているものであり、診療報酬の審査及び支払については、各後期高齢者医療広域連合と各都道府県の国保連との間の委託契約に基づき運用されているものであることから、各都道府県の国保連が後期高齢者医療の診療報酬の審査及び支払を行う際に、当該情報を使用しているかどうかについては把握していない。

六について

 国保連が行う国民健康保険及び後期高齢者医療の診療報酬の審査及び支払に関する事務は、国民健康保険の各保険者又は各後期高齢者医療広域連合と各都道府県の国保連との間の委託契約に基づき実施されており、当該事務の実施に当たり、被保険者証の返還に関する情報を使用するかどうかについては、国民健康保険の各保険者又は各後期高齢者医療広域連合と各都道府県の国保連との間で判断されるべきものであることから、御指摘の「保険証回収情報を資格管理システムに入力すること」を法令上義務付けることは適当ではないと考えている。

七及び八について

 後期高齢者医療制度においては、同一都道府県の区域内での住所の変更であっても保険者番号の変更により新たな被保険者証を発行する場合があり、後期高齢者医療制度の被保険者が当該被保険者証を提示せず、従前の被保険者証を提示して医療機関を受診した場合であって、その事実を当該医療機関が知ることができなかった場合には、一般論として、医療機関に対して診療報酬の支払を行う取扱いとすべきと考えており、個別の事案の状況を勘案しつつ、各後期高齢者医療広域連合において診療報酬の審査及び支払が適切に行われるよう、引き続き指導してまいりたい。