質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第五九号

内閣参質一八六第五九号
  平成二十六年四月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出原発再稼働に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出原発再稼働に関する質問に対する答弁書

一について

 原子力規制委員会においては、最新の科学的知見や国際原子力機関等の規制基準を参考にしつつ原子力発電所の規制に必要な基準を設定し、原子力発電所がその基準に適合しているか否かを確認することとしているところであり、また、安全性の追求に終わりはなく、継続的な安全性の向上が重要であり、事業者においても、更なる安全性の向上に努めるべきであると考えている。
 同委員会の専門的な判断により、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号。以下「規則」という。)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性が確認された原子力発電所については、その判断を尊重し再稼働を進めることとしており、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組んでまいりたい。

二について

 新規制基準では、原子力発電所の地震による損傷を防止するため、規則第四条第三項において耐震重要施設(規則第三条第一項に規定する耐震重要施設をいう。)は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力に対して、安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない旨規定されている。
 事業者からの申請に基づき原子力規制委員会が実施する新規制基準に係る適合性審査の対象となっている原子力発電所がどの程度の地震力に耐えることができるかについては、当該適合性審査を実施中であることから、現時点でお答えすることは困難である。

三について

 新規制基準に係る適合性審査については、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)を踏まえ、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づき設置された原子力規制委員会において、専門的な知見に基づき中立公正な立場で厳格に実施している。

四について

 一についてで述べたとおり、原子力規制委員会においては、最新の科学的知見や国際原子力機関等の規制基準を参考にしつつ原子力発電所の規制に必要な基準を設定し、原子力発電所がその基準に適合しているか否かを確認することとしているところであり、また、安全性の追求に終わりはなく、継続的な安全性の向上が重要であり、事業者においても、更なる安全性の向上に努めるべきであると考えている。
 また、九州電力株式会社川内原子力発電所の火山対策については、同委員会において新規制基準に係る適合性審査を実施中であることから、現時点でお答えすることは困難である。

五及び六について

 原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)においても、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けている。
 一についてで述べたとおり、原子力規制委員会の専門的な判断により新規制基準に係る適合性が確認された原子力発電所については、その判断を尊重し再稼働を進めることとしており、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組んでまいりたい。
 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分場(以下「最終処分場」という。)については、平成二十五年十二月十七日の最終処分関係閣僚会議において、国が、科学的根拠に基づき、より適性が高いと考えられる地域を提示し、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)に基づく文献調査の実施に向けて取り組む方向で検討を進めていくこととしたところであり、引き続き、最終処分場の確保に向けて取り組んでまいりたい。

七について

 本件事故の原因については、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が平成二十四年七月五日に国会に提出した報告書において「今後規制当局や東電による実証的な調査、検証が必要である」とされている未解明の問題も含め、原子力規制委員会の「東京電力福島第一原子力発電所における事故分析に係る検討会」において調査等を実施しているところである。また、原子炉等規制法第六十二条の三の規定に基づき、東京電力から同年九月十四日に経済産業大臣に報告された「福島第一原子力発電所 東北地方太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響に関する原子炉施設故障等報告書の提出について」の添付資料において、「事故の全体像の解明が進み、原因の分析・評価を行う過程で新たに確認された事実、得た知見については、引き続き報告していく。」と記載されているところである。
 政府としては、本件事故の経験と教訓を世界と共有することにより、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは我が国の責務であると考えており、いわゆる原子力発電所の輸出については、相手国の事情や意向を踏まえつつ、高い安全性を有する技術を提供していく考えである。