質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一八六第五三号
  平成二十六年四月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤田幸久君提出敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤田幸久君提出敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する再質問に対する答弁書

一について

 軍事郵便貯金(軍事郵便貯金等特別処理法(昭和二十九年法律第百八号)第二条第一号に規定する軍事郵便貯金をいう。以下同じ。)及び外地郵便貯金(同条第三号に規定する外地郵便貯金をいう。以下同じ。)について、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)が管理する口座の件数は、平成二十五年三月末現在で、それぞれ約七十万件及び約千八百六十七万件であるものと承知している。
 お尋ねの「日本銀行保管の供託物の件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令(昭和二十五年政令第二十二号。以下「特例政令」という。)により供託されている供託件数は、平成二十六年二月末現在、金銭の供託について四百三十七件、有価証券の供託について二十一件である。なお、特例政令の対象となる供託物は、特例政令第一条の規定により金銭及び有価証券のみである。
 お尋ねの「引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債等及び外国通貨等」については、財務省が保管している。お尋ねの「貴金属や貴重品」の具体的な範囲は必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十六年三月二十日内閣参質一八六第四二号。以下「前回答弁書」という。)一及び四についてでお答えした、「引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債・・・等、約百八万四千七百件」に含まれる物品数については、調査に膨大な時間を要することからお答えすることは困難であるが、「旧連合国軍総司令部から引き渡された旧日本銀行券等約八百万円相当(表示額面の合計。このほか、金額換算が困難な外国通貨等がある。)」は、金額換算が困難な真珠、指輪、懐中時計等の装身具、写真機及び双眼鏡、計約百二十件を含むものである。
 お尋ねの「交換」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本銀行券預入令等を廃止する法律(昭和二十九年法律第六十六号)附則第二項又は第六項に基づき、旧日本銀行券については、日本銀行に対し、現に通用する日本銀行券と引き換えることを請求することができる。

二について

 お尋ねの「法務局・地方法務局において民事供託金として保管されている未払い賃金など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、特例政令により供託されている供託物は、特例政令第八条第一項の規定により日本銀行において保管されており、法務局及び地方法務局では保管していない。

三について

 お尋ねの「日本年金機構において保管されている未払いの厚生年金など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本年金機構は、昭和二十年八月以前に厚生年金に係る法律上の支払義務が発生した後、その支払義務が消滅していない未払の債務を有していない。

四について

 お尋ねの「台湾関係の確定債務」のうち、平成七年十月二日から平成十二年三月三十一日までの間にされた請求に応じて支払われた件数及び総額は、それぞれ延べ約二十七万件及び約百二十八億二千万円である。このうち、元日本軍人及び軍属に係る未支給給与等(以下「未支給給与等」という。)については、これに係る供託金のほか、国の予算により支払を行い、軍事郵便貯金及び外地郵便貯金については、郵便貯金として預入された貯金のほか、国の予算により支払を行い、また、簡易生命保険(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)附則第二項の規定による廃止前の簡易生命保険法(大正五年法律第四十二号)第三条第一項に規定する簡易生命保険をいう。以下同じ。)及び郵便年金契約(簡易生命保険法の一部を改正する法律(平成二年法律第五十号)附則第三条の規定による廃止前の郵便年金法(昭和二十四年法律第六十九号)附則第二項の規定による廃止前の郵便年金法(大正十五年法律第三十九号)第二条第一項に規定する郵便年金契約をいう。以下同じ。)については、保険契約者が払い込んだ保険料等のほか、国の予算により支払を行っており、これらにより支払われた債務は消滅した。「台湾関係の確定債務」のうち残余の未支給給与等の債権は、時効により消滅している。他方で、「台湾関係の確定債務」のうち残余の軍事郵便貯金及び外地郵便貯金の処理については、前回答弁書五及び七についてでお答えしたとおりである。また、「台湾関係の確定債務」のうち残余の簡易生命保険及び郵便年金契約の処理については、機構の業務の委託先である株式会社かんぽ生命保険及び再委託先である日本郵便株式会社の郵便局において、保険契約者等からの請求を受け付け、支払を行うほか、保険又は年金の存在を確認するための照会に応じているものと承知している。
 お尋ねの台湾側の債権者の受け止め方については、政府として断定的に評価することは困難である。なお、お尋ねの「台湾関係の確定債務」のうち未支給給与等に係る平成十二年四月一日以降の請求については、資料の存する限りにおいて、確認されていない。また、「台湾関係の確定債務」のうち軍事郵便貯金、外地郵便貯金、簡易生命保険及び郵便年金契約に係る同日以降の請求については、資料の存する限りにおいて、軍事郵便貯金及び外地郵便貯金については確認されていないが、簡易生命保険及び郵便年金契約については本来の債務額により保険契約者等に支払を行ったものがあると、機構から聞いている。

五について

 お尋ねの「確定債務の処理に関して・・・政府内で議論したこと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「政府の見解」は、前回答弁書五及び七についてでお答えしたとおりであり、この基本的な方針を変更するような議論を行ったことはない。