質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一八六第二九号
  平成二十六年三月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出「金融・資本市場活性化に向けての提言」の具体的な実施計画及び進捗に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出「金融・資本市場活性化に向けての提言」の具体的な実施計画及び進捗に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十四年五月二十八日に金融審議会我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループが取りまとめた「我が国金融業の中長期的な在り方について(現状と展望)」を受け、政府においては、外国銀行業務の代理・媒介に係る規制の見直しのための信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)等の改正、動産・売掛金担保融資の活用のための環境整備、金融経済教育の充実、我が国金融業の向上・活性化に向けた「官民ラウンドテーブル」の設置等の取組を行ってきている。
 御指摘の金融・資本市場活性化有識者会合(以下「有識者会合」という。)においては、このような取組をも踏まえた上で、アベノミクスの「第三の矢」である「民間投資を喚起する成長戦略」の一環として、金融・資本市場においても戦略的な構造改革を進めていく必要があるとの問題意識の下、内外の経済社会構造の変化を踏まえつつ、①豊富な家計資金や公的年金等が成長マネーに向かう循環の確立、②アジアの潜在力の発揮、地域としての市場機能の向上、我が国との一体的な成長、③企業の競争力の強化、起業の促進及び④人材育成、ビジネス環境の整備等の四つの分野について取り組むべき施策として、昨年十二月十三日に「金融・資本市場活性化に向けての提言」(以下「本提言」という。)を取りまとめたものと承知している。

二について

 本提言に盛り込まれた諸施策のうち「直ちに着手し、二千十四年からの最初の一年間程度で実行すべき課題」を中心に、現在関係省庁及び関係者においてその具体化・実現に向けた取組が進められている。
 具体的には、年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)等の公的・準公的資金については、デフレ脱却を見据えた運用の見直しやリスク管理体制等のガバナンスの見直しなどに係る「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」の報告書(平成二十五年十一月二十日)の提言を踏まえ、関係省庁において、各資金の規模・性格に応じ、長期的な健全性の確保に留意しつつ、必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の対応を行っている。海外年金ファンドとの共同投資については、株式会社日本政策投資銀行及びGPIFが、カナダ・オンタリオ州公務員年金基金(以下「OMERS」という。)と共同投資協定を結び、OMERSが発掘・投資するインフラストラクチャー事業に共同で投資することを決定した。上場インフラファンド市場の創設や、そのための制度面での支援については、金融庁において関係する政令及び内閣府令の改正を検討するとともに、株式会社日本取引所グループの取組を促している。
 その他の項目を含め、金融庁及び財務省が関係者とともに、引き続き実施に向けた取組を進めてまいりたい。

三について

 本提言に掲げられた目標を実現するためには、本提言の着実な実行にとどまらず、この進展状況をフォローアップし、更なる施策を検討し積極的に講じていくなど、不断の取組を行っていくことが必要と考えており、こうした問題意識の下、有識者会合も本提言を取りまとめた以降も開催されている。引き続き、目標の速やかな実現に向け取り組んでまいりたい。