質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四号

内閣参質一八六第二四号
  平成二十六年三月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員蓮舫君提出安倍総理の憲法に対する認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員蓮舫君提出安倍総理の憲法に対する認識に関する質問に対する答弁書

一から四まで及び七について  

 御指摘の平成二十六年二月十二日の衆議院予算委員会における安倍内閣総理大臣の答弁は、行政府としての憲法解釈については、これに最終的に責任を負う内閣を代表して、内閣総理大臣が責任を持って答弁している旨を説明したものであり、「選挙で多数を得たら憲法解釈を自由に変更できる」、「選挙で与党が勝利することによって国民からお墨付きさえ得られれば、論理的な限界を超えて、いかなる憲法解釈の変更も行える」との御指摘は当たらない。
 一般論として、憲法を始めとする法令の解釈は、衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)一についてで述べたとおり、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものである。
 また、内閣法制局は、内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」等を所掌事務として内閣に置かれた機関であり、行政府による行政権の行使について、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に対し意見を述べるなどしてきたものである。

五及び六について

 集団的自衛権の問題については、現在、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)において、前回の報告書が出されて以降、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、我が国の平和と安全を維持するためどのように考えるべきかについて検討が行われているところであり、政府としては、懇談会における議論を踏まえて対応を改めて検討していく考えである。