質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一八六第二一号
  平成二十六年二月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出被験者保護の観点からの臨床研究の法制化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出被験者保護の観点からの臨床研究の法制化に関する質問に対する答弁書

一について

 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会(以下「検討委員会」という。)は、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)に係る臨床研究について、当該臨床研究における不適切な記録の使用や研究者の利益相反行為の疑いがあること等から、御指摘の「研究倫理や被験者保護」を含め、当該事案の状況把握及び必要な対応等の検討を行っているところである。

二、五及び六について

 御指摘の「臨床研究の法制化」については、現在、厚生労働省医政局において、検討委員会が取りまとめた「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(中間とりまとめ)」(以下「中間取りまとめ」という。)を踏まえた検討を行っている段階であり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
 また、疫学研究に関する倫理指針(平成十九年文部科学省・厚生労働省告示第一号)及び臨床研究に関する倫理指針(平成二十年厚生労働省告示第四百十五号)については、中間取りまとめを踏まえつつ、御指摘の「研究倫理、被験者保護」の観点からも、見直しの検討を行っているところである。

三について

 厚生労働省において、附属病院を設置する国公私立大学や特定機能病院等の臨床研究を実施する主な機関を対象とした調査の結果も踏まえた上で、倫理的な観点も含めた臨床研究の信頼回復のための法制度の必要性について、新たな検討組織の設置も含め、検討を行っているところである。

四について

 御指摘の「SIGN研究に対する疑惑」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「倫理委員会の質の確保」については、疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議において、倫理審査委員会の設置要件の見直し等について検討を行っているところである。
 また、お尋ねの「認定の仕組み」については、平成二十五年度厚生労働科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究(臨床研究・治験推進研究)事業)を活用した倫理審査委員会の認定制度と要件に関する検討に係る研究班において、認定制度の設計及び認定要件についての検討を行っているところである。

八について

 七についてで述べたとおり、御指摘の「倫理委員会の質の確保や認定の仕組み」については、現在検討中であることから、お尋ねの関係及び方向性についてお答えすることは困難である。

九について

 今通常国会に提出している独立行政法人日本医療研究開発機構法案第三条において、独立行政法人日本医療研究開発機構(以下「機構」という。)は、研究機関の能力を活用して行う医療分野の研究開発及びその環境の整備、研究機関における医療分野の研究開発及びその環境の整備の助成等の業務を行うと規定しているが、御指摘の米国国立衛生研究所(NIH)は、二十七の研究所等において、自ら研究開発を行うとともに、他の研究機関に対して研究費を配分することを業務としており、機構とは業務内容が同一ではない。