質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一八七号

居所不明児童対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   居所不明児童対策に関する質問主意書

 厚木男児遺棄致死事件(以下「本事件」という。)によって、「居所不明児童」の問題が改めて浮き彫りになっている。文部科学省の二〇一三年五月時点の学校基本調査によると、一年以上居場所の分からない小中学校の居所不明児童は、実に七百五人に及ぶ。
 この居所不明児童の問題に関し、以下質問する。

一 本事件では、三歳六か月検診(乳幼児健診)、小学校の不就学、迷子としての保護事案、児童手当の支給手続の中断など、より早期発見につながる機会を再三見逃している。
 児童虐待やネグレクトを疑わせるような、幾つかの兆候が重なった場合、強力な措置権限を有する行政機関によるアウトリーチ(家庭に出向く支援)、アグレッシブ・ケースワーク(積極的な個別援助)を義務付けるなどの制度設計を検討すべきではないか。

二 子供の安全のためには、母子保健業務を担う市町村等の自治体及び児童相談所や病院、警察など行政機関の連携と、より一層の情報の共有が必要であるのは当然である。
 二〇〇四年の児童福祉法改正により、市町村が虐待と認識する子どもの情報を児童相談所などと共有するための「要保護児童対策地域協議会」(以下「要対協」という。)を置くことができるとの規定が盛り込まれている。
 この要対協の設置を、明確に義務付けるべきではないか。
 また、要対協への報告を要するケースの基準を定めるなど、要対協の機能向上への施策を検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

三 小中学生一人一人の転居や転校などの履歴が記録される学齢簿や、一年以上所在不明の児童や生徒について、当該児童の情報を記載することになっている簿冊は、児童や生徒の状況把握に非常に重要である。
 本事件発覚のきっかけとなった、学齢簿に記録されていないが住民票が存在する子供の安否確認を定期的に実施する等の対策をとるべきと考えるが、政府の見解如何。
 また、簿冊記載の児童情報の活用について、明確なガイドラインを設けるべきと考えるが、政府の見解如何。

四 頭蓋内出血で横浜市内の地域中核病院等に入院した乳幼児のうち、児童虐待が疑われる事例でありながら、児童相談所へ通告されたのはそのうちの三割強にとどまっていたことが、横浜市児童虐待防止医療ネットワークによる調査で判明している。政府として、同様の調査を全国的に実施し、状況の正確な把握とそれに基づく対策に努めるべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。