質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一八六号

患者申出療養(仮称)と国民皆保険に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   患者申出療養(仮称)と国民皆保険に関する質問主意書

 日本の高い健康水準を支えているのは、「いつでも、どこでも、だれでも」低額で質の良い医療が受診できる国民皆保険制度だと認識している。
 一方、六月十日、安倍晋三首相は、公的医療保険が使える保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」を限定的に認めた保険外併用療養費制度で、新たに患者の申出に基づく「患者申出療養(仮称)」(以下「新制度」という。)を創設すると表明した。
 新制度と、国民皆保険制度との関係に関し、以下質問する。

一 政府は、新制度について、「国民皆保険制度を維持して保険外療養制度の枠内で創設する。この制度が実現しても国民皆保険制度が揺らぐことはない」としている。
 保険外併用療養制度の趣旨は、①安全性、有効性が確認された医療は、原則として保険適用を行うこと、②保険外併用療養制度は、将来の保険適用の可否を評価するための例外措置であることと認識しているが、当該原則に変更はないとの理解でよいか。

二 現行の保険外併用療養費制度という保険導入を見据えた制度においても、結果として保険適用となった医療技術はごくわずかである。対象が限られた現行制度においてさえ、そのような状況であるのに、新制度の対象は従来と異なり、制限は設けないこととされている。新制度の対象となった医療の保険収載がごく形式的なものにとどまらない保証はあるのか、政府の見解を明らかにされたい。

三 新制度により、新しく開発された新薬や治療法を保険適用にしようとのインセンティブが、低下してしまうおそれは全くないか。

四 新制度の導入により、保険診療が使えない分野の医療行為が増えると、医療費を全額自己負担できる患者と、保険を頼りに医療を受けている患者との間で、医療格差が生じることが想定されるところ、その懸念について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。