質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一八五号

患者申出療養(仮称)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   患者申出療養(仮称)に関する質問主意書

 六月十日、安倍晋三首相は、公的医療保険が使える保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」を限定的に認めた保険外併用療養費制度に関し、新たに患者の申出に基づく「患者申出療養(仮称)」(以下「新制度」という。)を創設すると表明した。
 この試案では、前例のない治療を患者が希望する場合は、臨床研究中核病院が国に申請し、原則六週間以内に専門家による合議機関が安全性や有効性から可否を判断し、同類の治療に関する二例目からは前例を扱った臨床研究中核病院による審査を原則二週間に短縮し、危険性の低い治療については患者に身近な地域の病院や診療所でも受診できるようにするとしている。
 この新制度に関し、以下質問する。

一 国内で未承認の医薬品等を使用する混合診療を実施する場合、現状では審査に平均六から七か月掛かっている。新制度は、この審査期間を約五分の一程度に大幅短縮するものだが、わずか六週間の審査で安全性、有効性の確認は本当に可能なのか。その見通し及び可能であるとする根拠につき、政府の見解を明らかにされたい。

二 新制度では現行制度と異なり、患者が希望すれば医師を通して申請することとされている。患者の意思を尊重しているとも言えるが、医療に関する知識や情報が限られている患者側にとって、最適な治療法を見極めるのは容易なことではない。
 仮に事後に安全性や有効性の判断が覆り医療事故等が発生した場合、患者側の自己責任を理由として、国等の責任が軽減されるおそれはないか。

三 安倍総理は、新制度を創設する意義として、困難な病気と闘う患者が、より迅速に必要な治療を受けられるようにしたい旨説明している。その一方で、検討過程において患者団体への公の場でのヒアリングなどを十分に行なっていない理由を示されたい。

四 平成二十五年度(平成二十四年七月一日から平成二十五年六月三十日)の保険外併用療養費のうち、保険診療分は約七十・六億円となっている。新制度の適用で、この費用はどの程度変化するのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。