質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一八二号

政府開発援助(ODA)の不正対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   政府開発援助(ODA)の不正対策に関する質問主意書

 近年、政府開発援助(ODA)事業をめぐる不祥事が相次いで明らかになっている。インドネシアの火力発電事業における丸紅株式会社の米国の海外腐敗行為防止法違反や、ベトナムの鉄道プロジェクトを含む三か国でのODA事業における鉄道コンサルタント会社「日本交通技術株式会社(JTC)」によるリベート疑惑などである。
 これらのODA事業の不正対策に関し、以下質問する。

一 ベトナムについては、今回のJTCのリベート疑惑が起こる前の二〇〇八年にも株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)による贈賄が問題となっている。その際講じられた不正・腐敗の再発防止策は、なぜ今回機能しなかったのか、政府の見解を明らかにされたい。

二 ODA事業における不正腐敗に関する情報を把握するための窓口として、二〇〇九年に、外務省本省(国際協力局)、在外公館及びJICAなどに不正情報受付窓口が設置されている。しかしながら、今回、JTCの社長は、この窓口の存在さえ知らなかったと報じられている。政府は、この窓口に関して、どのように周知を図ってきたのか。このような事態への対策と併せて、明らかにされたい。

三 腐敗問題に対して国際的に対処するための「腐敗の防止に関する国際連合条約」に関し、二〇〇六年に国会で承認されたにもかかわらず、いまだ批准に至っていない理由を具体的に明らかにされたい。また、ODA不正対策の重要性から言っても、至急批准を行うべきと考えるが、それについての政府の見解を、今後いつ批准を行う予定なのかという見通しを含め、明らかにされたい。

四 ODAに関する不正については、海外での捜査の難しさが立件のハードルとなっている。
 元々、収賄側は外国人であることから、国内法では罰することができない上、精密司法と言われるように、緻密な立証を要する日本の司法制度において、贈賄行為を立証するには、それを裏付ける収賄側の外国公務員の供述が不可欠なためである。
 このような国外の贈賄に関する捜査の壁への対策の必要性について、政府の見解を明らかにされたい。また、具体的な対策は行っているか、明らかにされたい。

  右質問する。