第186回国会(常会)
質問第一七五号 自衛権と集団安全保障の関係に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十六年六月二十日 大野 元裕
参議院議長 山崎 正昭 殿 自衛権と集団安全保障の関係に関する質問主意書 一 国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第五十一条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」としているが、国連憲章第四十二条で定める集団安全保障措置が講じられて以降は、国際法上における集団的自衛権の行使は違法と考えるか、政府の見解を明らかにされたい。 二 国際連合安全保障理事会(以下「国連安保理」という。)における「決議第六百七十八号」や「決議第七百九十四号」のように、国際連合が国連憲章第七章をひいて、加盟国に対し必要なあらゆる手段をとる権限を与える場合、それは国連憲章第四十二条で定める集団安全保障措置にあたる、もしくはそれに準ずると考えるか、政府の見解を明らかにされたい。 三 前記二の場合、国連憲章第四十二条で定める集団安全保障措置がとられた後、国際法上の自衛権は行使し得ると考えるか、政府の見解を明らかにされたい。 四 昭和四十七年十月十四日、参議院決算委員会に提出された「集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料」(以下「政府資料」という。)によれば、「憲法は、第九条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、また、第十三条において「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」とされており、これらのことから自衛権の解釈がなされていると承知している。そうであれば、「国連憲章第四十二条で定める集団安全保障措置や、国際連合が国連憲章第七章をひいて、加盟国に対し必要なあらゆる手段をとる権限を与える場合の措置」(以下「措置」という。)がとられ、国際法上の自衛権の行使が認められなくなる場合には、いかなる法的根拠で我が国は自国を守ることになるのか。 五 政府資料の見解が、自衛のための武力の行使の三要件の根拠とされてきたところ、措置として行われる他国による武力の行使に対する我が国の後方支援が、国際法上自衛権が認められない状況で行われるとすれば、何をもって「武力の行使と一体化」の判断根拠とするのか。 六 仮に、我が国の国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる場合に限定して集団的自衛権の行使を認めるとした場合、措置がとられる際、いかなる根拠をもって集団的自衛権としての武力の行使をその後も継続することになるのか。あるいは、措置がとられた後は武力の行使はとりやめると考えるのか。 七 現在、政府・与党で検討されている集団的自衛権の行使を限定する新三要件は、自衛権としての武力の行使の三要件と考えるが、措置がとられて以降は憲法上のいかなる根拠をもって、引き続き武力の行使が可能となるのか。あるいは別の根拠が必要と考えるか。 八 安倍総理は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に対し、安全保障上必要な法制度の検討について諮問を行ったと承知しているが、我が国の安全保障にとって極めて重要な措置がとられた後の自衛の為の法的根拠について、諮問をしなかった理由を明らかにされたい。 右質問する。 |