質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一六二号

タクシー業界における累進歩合制賃金と乗務員負担制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十九日

小池 晃   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   タクシー業界における累進歩合制賃金と乗務員負担制度に関する質問主意書

 公共交通機関として位置付けられているタクシーにおいて、労働者の賃金・労働条件は利用者・国民の安全に直結するものであり、平成二十六年一月二十七日に施行された特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の改正も供給過剰の解消、運転者の労働条件改善及び安心・安全輸送の確保、事業の健全化促進を目的としている。
 改正法の衆議院国土交通委員会附帯決議には、「国土交通省及び厚生労働省は、累進歩合制の廃止について改善指導に努めること」、「事業者は歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し等賃金制度の改善等に努めるとともに、運行の安全を確保し、拘束時間外に運転代行業務に従事すること等により安全な運行をすることができない運転者を乗務させることがないよう万全を期する」と明記されているが、同業界において明確に改善したという状況が見受けられないことから、以下質問する。

一 累進歩合制賃金の廃止について、政府は具体的にどのような指導・助言をし、実際に何社で、どのように改善されたのか、明らかにされたい。

二 累進歩合制賃金については、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」(平成元年三月一日基発第九十三号)によって「廃止すること」とされているにもかかわらず、二十六年もの年月を経てなお現存し、断固たる対策が求められている。廃止に向けて、いつまでにどのような対策を講じるのか。

三 いわゆる乗務員負担制度等の改善については事業者が行うべきこととされているが、労働者の労働条件に重大な影響を及ぼすものとして、政府としても対応するべきものと考える。政府は実態をどの程度把握し、どのように指導をしているのか。また、今後どのように解決を図ろうとしているか。

四 事業者の中には、表向きは乗務員負担制度を廃止するとしながら、賃率の引下げ等を交換条件として持ち出し、実質的な労働条件改善を図ろうとしない者が存在する。こうした事業者について、どのように考え、対応していくのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。