第186回国会(常会)
質問第一三九号 防衛大学校における「アジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来」講座に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十六年六月十三日 和田 政宗
参議院議長 山崎 正昭 殿 防衛大学校における「アジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来」講座に関する質問主意書 平成二十五年十月から平成二十六年二月までの間、防衛大学校において、「アジアにおける域内安全保障協力の現状及び将来」と呼ばれる講座(以下「本件講座」という。)がNPO法人「ワンアジア財団」の助成を得て開講された。同講座は、同大学校の第三学年及び第四学年を対象に行われ、三十八名の学生が受講している。 防衛省は、平成二十六年五月十二日の参議院決算委員会において、本件講座の趣旨について、アジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえて、主として非伝統的な分野、人道、災害救援、平和構築といった分野における安全保障協力の現状及び将来の可能性と課題を多角的に考察させるものであると説明している。また、小野寺防衛大臣も同委員会において、国防や国家の概念をしっかりと身につけた学生を対象に、外国人との考え方や感じ方の違いなどを知る中で国際的な視野を育てるという目的で開講されていると述べている。 国際的な視野を持つ自衛官の養成は国家にとって重要な施策であり、その趣旨については賛同するものである。しかしながら、本件講座を助成するワンアジア財団は、基本理念の中に、「「国家」や「国民」という概念に縛られることなく、多民族・多文化で構成される市民社会の中で生きることが求められ」ることをうたい、そのために「将来のアジア共同体の創成に寄与するという共通の目的を有する団体に対して、助成を行」うとしている団体である。 自衛隊は、国民の生命と財産を守るための組織であり、その幹部自衛官を養成する防衛大学校において、国家や国民の概念に縛られないとの基本理念を持つ団体の助成の下で、このような講座が開講されていることには、疑問を呈さざるを得ない。 そこで、以下質問する。 一 防衛大学校における教育の目的及び理念を明らかにされたい。 二 防衛大学校は、将来のアジア共同体の創成に寄与するという目的を有しているか、政府の見解を明らかにされたい。 三 防衛大学校が本件講座を設置した経緯について、本件講座は、防衛大学校からワンアジア財団に対して設置を申請したのか、それともワンアジア財団から防衛大学校に設置が働きかけられたのか、その経緯を明らかにされたい。 四 防衛大学校が本件講座を受け入れた理由を明らかにされたい。 五 本件講座は、ワンアジア財団による「寄付(助成)講座」として設置されているが、この「寄付(助成)講座」とは何か、説明されたい。 六 防衛大学校が「寄付(助成)講座」を新設する場合の基準及び手続(決定機関を含む)を明らかにされたい。 七 ワンアジア財団が本件講座に対して行った助成総額(費目を含む)を明らかにされたい。 八 本件講座には、複数の講師が招へいされているが、報酬などを含む招へい費用を明らかにされたい。また、ワンアジア財団は招へい費用を全て負担しているのか、それとも一部のみを負担しているのか。仮に一部のみを負担している場合、防衛大学校とワンアジア財団との費用負担の内訳を明らかにされたい。 九 ワンアジア財団は、本件講座以外に防衛大学校に対して助成を行っているか。行っている場合は助成額及びその内容を明らかにされたい。 十 平成二十六年度における防衛大学校の「寄付(助成)講座」の開設状況について、明らかにされたい。 右質問する。 |