質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一三七号

海外市場上場株式の株主への配当金支払に対する源泉徴収に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十三日

小見山 幸治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   海外市場上場株式の株主への配当金支払に対する源泉徴収に関する質問主意書

 海外の証券取引所における証券市場に上場した株式について、株主に対し配当金が支払われる場合の源泉徴収の取扱い等について疑問な点があるので、以下質問する。

一 香港証券取引所において、上場株式の売買等取引を行う場合は、その株式を香港証券取引所の子会社である香港中央結算有限公司(以下「HKSCC」という。)が管理する中央清算決済システム(以下「CCASS」という。)に預託することとされている。そのため、上場株式の実質株主が日本の居住者又は日本法人である場合であっても、上場株式の発行者たる会社の株主名簿上は、香港法人であるHKSCCが株主として掲載されていることがある。
 日本法に基づき設立された日本国内の会社の株式を香港証券取引所に上場した場合、発行者たる会社が株主に対し配当を行う際には、次のような取扱いになると承知している。
① 株主名簿上の株主がHKSCCであれば、HKSCCに対し配当金が支払われる。
② 実質株主は、HKSCCからCCASS参加者(証券会社等)及びCCASS参加者と取引関係にある日本国内の証券会社等を経由して、配当金を受け取ることとなる。
 この場合において、①の時点で所得税法等の規定に基づき源泉徴収を行う必要がある。一方で、国税当局は、実質株主が配当金を受け取る②の段階においても、源泉徴収を行う義務があるとの指導を国内証券会社等に行っているとの指摘がある。
 このような指導を行っているとの指摘は、事実であるのか。事実であれば、源泉徴収を行う具体的な法令上の根拠を併せて示されたい。

二 一で指摘した国税当局による指導が事実であるとすれば、実質的には同一の配当金に対する二重の源泉徴収が行われているものと言わざるを得ず、実質株主に極めて不合理な結果をもたらすことになる。実際、そのような指摘も聞かれるところである。

1 現行制度において、国税当局に対する還付請求等の手続によって、このような不合理な結果を是正する方法はあるか。
2 仮に還付請求等の手続が可能であるとしても、手続の煩雑さや国税当局が求める還付請求等添付書類を準備できないなどの事由によって、実際には還付を受けられない可能性も考えられる。また、そもそもこうした手続が認められていないのであれば、是正の機会が与えられないこととなる。
 そこで、このような二重の源泉徴収による不合理な結果を是正すべく、法令の改正等により根本的な解決を図る必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。