質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一三五号

立憲主義と集団的自衛権行使の解釈変更に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十三日

小西 洋之   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   立憲主義と集団的自衛権行使の解釈変更に関する質問主意書

一 一般論として、日本国憲法が立脚するところの近代立憲主義においては、内閣による閣議決定はもちろん、国会が立法する法律によってもそれを侵害することができない国民の生命、自由があり、当該生命、自由については、主権者である国民の憲法改正による国民投票によってしかその判断を決することはできないという考えに立つものであると解してよいか。このように解する場合は、現在の政府の憲法解釈において保障されている国民の生命、自由について、閣議決定でも立法によってもそれを侵害等することができず、従って、憲法改正によるしかそれを可能とする手段がない事項を五項目程度示されたい(例えば、徴兵制など。)。

二 集団的自衛権の行使を閣議決定による憲法解釈の変更により可能とし、その解釈の下で、国会で自衛隊法等の法改正を行い、実際に集団的自衛権を行使して、その結果、自衛隊員や他の日本国民を戦死・死亡させることは、近代立憲主義に反するのではないか。あるいは、こうした閣議決定及び立法行為(その後の自衛隊の出動命令等の行政行為も含む)は、近代立憲主義に何ら抵触するものではないと考えるのか。もし、反するものでもなく抵触するものでもないと考える場合は、前記一に対する答弁で示された事項に比べても近代立憲主義に反するものでなく、また、抵触するものでもないと判断する理由について、具体的に示されたい。

三 国会が、審議の場において、政府に憲法解釈を質疑するのは、国民主権及び議院内閣制の下の国民代表機関たる国会による内閣に対する監督行為等であると解してよいか。内閣の見解を示されたい。

四 戦後の衆参両院において、半世紀以上にもわたって憲法第九条において集団的自衛権の行使は憲法違反であることの積み重ねの議論があるにもかかわらず、第二次安倍内閣において、事前に国会に対し、集団的自衛権の行使を可能とする憲法第九条の改正案及び既に私が二〇一三年十二月六日に提出した「集団的自衛権の行使に係る憲法解釈に関する質問主意書」(第百八十五回国会質問第九八号)に対する答弁書(内閣参質一八五第九八号。以下「答弁書」という。)においても踏襲することを明らかにしている政府の憲法解釈に関する考え方との適合性などについて報告を行い、それらについて徹底的な国会審議を受けずに解釈の変更を強行することは、内閣による国会無視かつ議院内閣制の否定であり、さらには、内閣による主権者である国民を無視し、かつ、主権者である国民の憲法を収奪する近代立憲主義に反する行為ではないか。内閣の見解を示されたい。

五 我が国に対する武力攻撃が発生していないのに、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態を排除するために、憲法上認めることができる集団的自衛権の行使が憲法解釈として存在し得るのか、政府の解釈を示されたい。なお、そうした集団的自衛権の行使が憲法上認められるとする解釈に立つ場合は、答弁書においても踏襲することを明らかにしている政府の憲法解釈に関する考え方との適合性について具体的かつ網羅的に示されたい。

  右質問する。