質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一三〇号

政府の年金財政検証の前提に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   政府の年金財政検証の前提に関する質問主意書

 厚生労働省は平成二十六年六月三日に「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(以下「年金財政試算」という。)を明らかにした。この中で、国民年金・厚生年金の給付と負担の関係と財政検証を示しており、前提となる世帯として「夫のみ就労の平均的な世帯」を採用している。
 他方、安倍首相は平成二十六年三月十九日の平成二十六年第三回経済財政諮問会議及び第一回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議(以下「合同会議」という。)において、「女性の就労拡大を抑制する効果をもたらしている、現在の税・社会保障制度の見直し及び働き方」について検討を行ってもらいたいと述べ、専業主婦がいる世帯の所得税を軽減する配偶者控除の縮小・廃止を検討するよう指示し、専業主婦を優遇する措置を廃止することで女性の社会進出を促そうとしている。
 しかしながら、両者は相反するものであり、政府の政策として整合性に欠いているように思われる。
 このような観点から、以下質問する。

一 我が国の全就労者の数、世帯数、さらには就労者の平均的なモデルである夫のみ就労の世帯数について、直近の数値を示されたい。

二 田村厚生労働大臣は合同会議において、「現行制度に基づく検証作業に加え、プログラム法で検討課題となっている問題に関連するオプション試算を行うこととしているところである」と述べ、第三号被保険者の見直しに係るオプション試算を行う意向を示している。そもそも夫のみ就労の平均的な世帯というものが現在の就労状況の実態を反映していないと思われるが、政府の見解を示されたい。

三 年金財政試算では夫のみ就労という世帯をモデルとしている一方、合同会議では専業主婦の就労を促す政策を検討しているが、両者の前提は矛盾するものと思われる。政府が中長期的な政策を検討する場合、まず、モデル的な世帯像を決定すべきであり、それを踏まえて各省での個々の政策の議論が進められるべきである。すなわち、政策分野ごとの弥縫策にとどまる結論を出すのではなく、政府があらかじめ中長期的な国民像、世帯像を設定し、国家戦略としての社会保障政策や税制改正の決定を行うべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。