第186回国会(常会)
質問第一二七号 無国籍問題に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十六年六月十二日 福島 みずほ
参議院議長 山崎 正昭 殿 無国籍問題に関する質問主意書 一九五四年に「無国籍者の地位に関する条約」が国連で採択されてから今年で六十周年を迎える。我が国は同条約を批准していないものの、二〇一三年十二月末の在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表(以下「統計表」という。)によれば、九百八人の「無国籍」者を確認することができ、日本社会においても無国籍者が存在することを示している。また、本邦の法令をみると、国籍法や出入国管理及び難民認定法において、無国籍の発生を予防し、無国籍者に一定の便宜を供与するための規定もみられる。しかし、実際に本邦においていかなる者が無国籍者として把握され、どのように保護されているか、その実態は必ずしも明らかではない。右の点を踏まえ、以下質問する。 一 統計表の「第二表 国籍・地域別 年齢・男女別 在留外国人」によれば、「無国籍」九百八名のうち、〇歳児の無国籍が百九十一名(二十一パーセント)、一歳児の無国籍が百十四名(十二・五パーセント)であり、他の年齢層(例えば、二歳児は四名、三歳児は六名である。)と比較しても圧倒的に多い。そもそも、いかなる事情(例えば、親の国籍、子どもの旅券、身分証明書、出生登録の有無等)を考慮して、どのように「無国籍」と判断しているのか、その考慮要素及び認定方法を明らかにされたい。なお、当該考慮要素や認定方法が、外国人登録制度の廃止(二〇一二年七月九日)の前後で異なる場合には、廃止前と廃止後の双方についてそれぞれ明らかにされたい。 二 出入国管理及び難民認定法第二十六条第二項は、「法務大臣は、前項の許可をする場合には、(中略)旅券を所持していない場合で国籍を有しないことその他の事由で旅券を取得することができないときは、法務省令で定めるところにより、再入国許可書を交付させるものとする。」と定め、さらに同条第八項は、「第二項の規定により交付される再入国許可書は、当該再入国許可書に係る再入国の許可に基づき本邦に入国する場合に限り、旅券とみなす。」と定め、本邦から外国へ出国し、再び本邦へ入国する際、再入国許可書を旅券代わりに使用することを認めている。そこで、同法第二十六条第二項に基づき、旅券を所持していない場合で国籍を有しないことその他の事由で旅券を取得することができないときに発行される再入国許可書の交付件数は、現在に至るまで何件存在するのか、各年別に示されたい。また、その再入国許可書の交付を受けた者の国籍・地域欄について、国籍・地域欄の記載内容(無国籍である旨の記載を含む。)ごとに交付件数の統計がある場合には、明らかにされたい。 三 国籍法第二条第三号は、「日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。」は、当該子を日本国民とする旨定める。政府は、同法第二条第三号が適用され、日本国籍を取得し戸籍が編製された件数を把握しているか。把握している場合には、現在に至るまで何件存在するのか、各年別に明らかにされたい。 四 国籍法第八条第四号は、「日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの」について、第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができるとして、いわゆる簡易帰化の規定を定めている。政府は、同法第八条第四号が適用された上での帰化許可処分がなされた件数を把握しているか。把握している場合には、現在に至るまで何件存在するのか、各年別に明らかにされたい。 五 前記四のいわゆる簡易帰化の適用がなされずに帰化許可処分がなされた事案のうち、許可処分時点において、従前の国籍が無国籍であると認められた件数を把握しているか。把握している場合には現在に至るまで何件存在するのか、各年別に明らかにされたい。 六 前記一ないし五で述べた各手続場面における、「無国籍」であると判断する場合の認定基準は、いずれも同一であるのか、政府の見解を明らかにされたい。同一である場合には、その認定基準の内容を、各手続場面によって異なる場合には各認定基準の内容を、それぞれその根拠規定・ガイドライン・内部指針等も含めて明らかにされたい。さらに、仮に各手続場面によって認定基準が異なる場合には、統一的な「無国籍」の認定基準を設ける必要性について、政府の見解及びその検討状況を明らかにされたい。 右質問する。 |