質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一一四号

集団的自衛権の行使容認の解釈変更に伴う立法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   集団的自衛権の行使容認の解釈変更に伴う立法に関する質問主意書

 自衛隊の行動に関する最も厳密な規定を課す自衛隊法第七十六条でいう「防衛出動」においても、自衛隊の出動の決定権は内閣総理大臣にあると解され、国会は憲法や法令の指示する範囲内で意思表示を行うに過ぎず、自衛隊の指揮権を有するものではない。
 平成二十六年五月十五日の記者会見で安倍首相は、「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」、「生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を政府は最大限尊重しなければならない」のであり、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される」、「政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたい」と述べている。さらに、安倍首相は「十分な検討を行い、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りしたい」との表明を行った。
 このような観点から、以下質問する。

一 自衛隊の行動の決定権は内閣総理大臣にあり、国会は憲法や立法の指示する範囲内で意思表示を行うものと解されている。集団的自衛権の行使容認に関わる要件等を法案に具体的かつ詳細に規定することは、国会が自衛隊を指揮する執行作用も負うことになるおそれがあると思われるが、政府の見解を示されたい。

二 集団的自衛権の行使容認に関わる「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の「報告書」で取り上げられている事例では、主に日本の国民が居住する国土ではなく、領海や公海上で生じる事例が対象になっており、集団的自衛権の行使容認に際しても一般の国民の権利義務に関わる問題が発生するおそれはないように思われる。従って、具体的な集団的自衛権の行使容認の事例について、国会の承認を得る等の規定を設ける必要はないと思われるが、政府の見解を示されたい。

三 平成十一年四月二十六日に行われた、いわゆる「周辺事態法」に関する衆議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会の質疑では、当該法案に国会の事前承認を設ける修正を行った理由として、「湾岸戦争のときの機雷掃海をおやりになった艦長さんが、我々にとって一番励みになる、仕事をする上で一生懸命頑張ろうという気持ちになるのは国民の支持があることだ、こういう言葉がありました」、「したがって、国会できちっとそれを認めてあげるということも一つ大きな意味があるのではないか」との答弁が行われている。かかる対応は法律の議論ではなく、専ら政策上の配慮であると思われる。現在においても、防衛分野の立法過程において、自衛隊員の士気向上のための政策的配慮が行われる必要があると考えているのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。