質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇五号

防衛法制における「ポジリスト」、「ネガリスト」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年五月二十六日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   防衛法制における「ポジリスト」、「ネガリスト」に関する質問主意書

 日本の防衛法制はいわゆる「ポジリスト」方式であり、これは、自衛隊の前身であった警察予備隊が当時採用した警察組織の法制を踏襲したためと考えられている。他方、世界の軍隊法制は「ネガリスト」方式であり、国際法上できないとされること以外で軍の行動が縛られることはない。
 このような観点から、以下質問する。

一 平成十五年五月十六日の衆議院安全保障委員会で石破防衛庁長官は、「私どもの自衛隊法の書き方というのはポジリストになっておりますから、あれもできる、これもできるという、できることが列挙してある。しかし、基本的に軍隊の法制というのはネガリストであって、やってはいけないことが書いてあって、それ以外はやってもいい」と答弁しているが、日本の防衛法制は「ポジリスト」方式であると認識しているのか、政府の見解を示されたい。

二 日本の防衛法制における「ポジリスト」、「ネガリスト」についての政府の見解を示されたい。

三 自衛隊の行動を法律で規定するのは、日本国民の権利義務に関わる問題が発生するおそれがあるからだとの学説が一般的だが、防衛法制上、武器使用基準等の自衛隊の行動を法律で詳細に規定する必要性について、政府の見解を示されたい。

四 防衛省防衛研究所紀要第十巻第二号の「軍の行動に関する法規の規定のあり方」では、自衛隊の「対外的作用については、国内法上の根拠規定がなくても国際法の許す範囲内で行動できるものとし」、「「ネガリスト」方式に転換することを検討する必要がある」との見解が示されている。論文そのものは研究者個人の責任で執筆されているが、これを防衛研究所紀要に掲載することは防衛省設置法第四条第十八項で定める「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」の一作用であると思われる。そこで、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書で言及している領海や公海上で生じる集団的自衛権の行使容認の事例において、これを自衛隊の対外的作用と見なし、ネガリストもしくはそれに準ずる簡素な規定のみで行使を容認する法整備を行うべきだと思われるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。