質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第七四号

国民健康保険・後期高齢者医療制度による医療機関受診の際の資格確認に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年四月十六日

田村 智子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国民健康保険・後期高齢者医療制度による医療機関受診の際の資格確認に関する質問主意書

 当事務所に、同一県内で転居した高齢者が医療機関を受診した際に、被保険者証(以下「保険証」という。)を確認したにもかかわらず後期高齢者医療広域連合が医療機関の同意を得ないまま、レセプトを返戻したという相談が寄せられた。この事例において、医療機関が、当該広域連合に返戻の理由を確認したところ、「保険者番号が違う。医療機関から問い合わせれば、新しい保険者番号を伝えているので、改めて再提出をお願いしている。」と説明を受けた。
 公的医療保険の資格喪失後に被保険者が医療機関に保険証を提示して受診した場合には、原則として医療機関には診療報酬を支払い、被保険者には給付費の請求を行う取扱いが行われてきた。また、後期高齢者医療制度において、被保険者が同一都道府県内で転居した場合であれば、保険者の変更はない。
 この事から考えると先の相談の事例では、保険証の確認を行った医療機関に対して、保険証回収を怠ったと思われる保険者がレセプトを返戻し、保険者の変更がなく当該被保険者の新旧保険者番号を承知している当該広域連合が診療報酬を支払わなかったことは問題であると思われる。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 全国健康保険(以下「協会けんぽ」という。)の資格喪失後、保険証を提示して医療機関を受診した場合について、二〇一三年五月二十一日の参議院厚生労働委員会において、木倉保険局長は「協会けんぽに加入されておられた被保険者、これが協会けんぽの方の資格を喪失したその後に医療機関を受診されたという場合でございますけれども、まずその保険証の回収日よりも前に受診されておったということであれば、その保険証を医療機関に提示をされまして受診されておったということが考えられますので、原則としては医療機関には診療報酬をお支払いするということで、被保険者の方が資格喪失されたことを分かりながら被保険者証を返納せずに持っておられて使われたということですから、被保険者の方に給付費の請求を行う取扱い」と答弁している。これは、被保険者資格喪失後に保険証が回収されるまでの期間に保険証を提示して医療機関を受診した場合には、協会けんぽに限らず国民健康保険、後期高齢者医療、健康保険、共済など全ての公的医療保険制度に共通する取扱いと考えるが、いかがか。

二 国民健康保険の資格喪失に伴って保険者は確実に保険証を回収する必要があるが、保険証の回収の有無、回収日など保険証の回収情報の記録は保険者に義務付けられているのか。

三 各都道府県の国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)の資格管理システムは回収の有無、回収日など保険証の回収情報を記録することができるのか。また、保険証の回収情報を記録することができる場合に、その情報は国保連によるレセプト審査の資格確認に使用されているのか、都道府県ごとに明らかにされたい。

四 後期高齢者医療制度における被保険者の都道府県を越える移動による保険者の変更や、同一都道府県内での移転による保険者番号、被保険者番号などの変更の際に、後期高齢者医療広域連合は確実に旧保険証を回収する必要があるが、回収の有無、回収日など保険証の回収情報の記録は保険者に義務付けられているのか。

五 後期高齢者医療制度の広域電算処理システム(標準システム)は回収の有無、回収日など保険証の回収情報を記録することができるのか。また、保険証の回収情報を記録することができる場合に、その情報は国保連によるレセプト審査の資格確認に使用されているのか、都道府県ごとに明らかにされたい。

六 協会けんぽなど健康保険の保険者は、保険証の回収情報を資格管理システムに入力して診療報酬支払いに関する資格審査に使用している。国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証回収情報を資格管理システムに入力することを義務付け、レセプト審査に活用することを検討すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

七 後期高齢者医療制度では、被保険者が同一都道府県内で移動をしても、保険者は同一であり同じ広域連合の中で資格情報は管理されている。また、このような場合には、療養の給付とそれに対する診療報酬の支払いという被保険者、保険者、医療機関の関係に変更はなく、保険証の保険者番号の違いなどを理由とする返戻は、専ら保険者の管理上の都合であり、保険証が回収されていないことに責めを負わない医療機関に、旧番号を調査させたうえでレセプトを再提出させるという新たな負担を負わせることは適当ではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

八 前記七で指摘した場合、後期高齢者医療広域連合はレセプトを返戻することなく、診療報酬を支払うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。