質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第六二号

敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年四月十日

藤田 幸久   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する第三回質問主意書

 私が提出した「敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第四二号)に対する答弁書(内閣参質一八六第四二号。以下「答弁書第四二号」という。)及び「敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する再質問主意書」(第百八十六回国会質問第五三号)に対する答弁書(内閣参質一八六第五三号。以下「答弁書第五三号」という。)に対して、以下、再度質問する。

一 答弁書第四二号の一及び四について

1 財務省が保管している引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債(大蔵省関係法令の整理に関する法律(昭和二十九年法律第百二十一号)等に基づき、消滅時効の完成後も国が国債の元利金の支払を行うことができるものを含む。)等、約百八万四千七百件の総額を示されたい。
2 「旧臨時軍事費特別会計の債務のうち、閉鎖機関に関する債権」とは具体的にどのような機関のどのような内容の債権か、示されたい。
3 引揚者等から「寄託」とあるが、引揚者等は、実際には半ば一方的に預けることを強いられたのではないか。寄託に当たって、当時どのような手続きが取られたのか、明らかにされたい。
4 答弁書第五三号の一についてに関し、「引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債等及び外国通貨等」の払戻しや返還を求める際の財務省の受付窓口を明らかにされたい。また、それらの返還方法を周知する広報を政府は行っているか、明らかにされたい。

二 答弁書第五三号の四について

1 台湾関係の確定債務に関して、一九九五年(平成七年)の時点で政府が把握していた件数及び総額をそれぞれ示されたい。
2 二〇〇〇年(平成十二年)に支払いを終え、その後消滅した確定債務の件数及び総額をそれぞれ示されたい。
3 台湾関係の確定債務の支払のために、保管されていた供託金、貯金、保険、年金以外に投入された国からの予算をそれぞれ示されたい。
4 前記二の3に関して、国の予算を投じるために立法措置は取られたのか、明らかにされたい。
5 外務省がホームページなどで発表している「賠償並びに戦後処理の一環としてなされた経済協力及び支払い等」には、この台湾確定債務の支払が含まれていないが、その理由を示されたい。政府は、戦後処理ではないとの認識であるのか。
6 「公益財団法人交流協会」台北事務所に、二〇〇〇年以降にこの確定債務問題に関して、債権を有すると主張する台湾の住民らから要望や要請を受けていないか。受けている場合には、その内容及び日本政府や交流協会の対応について、明らかにされたい。

三 一九六五年(昭和四十年)以前の韓国人の確定債務について

 戦時中、軍人や軍属として働いたり、日本企業の下で働いた朝鮮半島出身者で韓国籍者の確定債務は、一九六五年の「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」及び「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」(昭和四十年法律第百四十四号)によって消滅したと承知している。この措置によって消滅した債務の件数及び総額をそれぞれ示されたい。
 万一、これらのうちで実態が確認できない事項がある場合には、確認できない理由について、明らかにされたい。

四 一九七二年(昭和四十七年)以前の中国人の確定債務について

1 戦時中、軍人や軍属として働いたり、日本企業の下で働いた中国籍者の確定債務は、一九七二年の「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」によって消滅したことになっていると承知している。同声明が調印された結果、消滅した確定債務の件数及び総額を示されたい。万一、これらのうちで実態が確認できない事項がある場合には、確認できない理由について、明らかにされたい。
2 前記一に関して、中国籍者の確定債務に関するデータを中国政府に公式又は非公式に提供したことはあるか。

五 戦後六十九年を経た現在、韓国や中国の裁判所に戦時中の労働に対する賃金などの支払いを求めて、日本企業が提訴されるケースが続き、不安が広がっている。過去の債務処理を検証・精査するとともに、法的責任をめぐる争いを超えて、歴史の事実を直視し、知恵を絞って、誠実かつ可能な対応策を検討することが、未来を志向し国政を担う政府及び国会の責務と考える。また、省庁間の連携も図られていない現状に鑑み、政府一体となった取組が必要である。東アジアの平和と和解を醸成するためにも、「戦後七十年」を前に政府による調査・検討機関を設けるべきと考えるが、いかがか。さらに、確定債務問題に対する取組方針と今後の具体的な対応について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。