質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第四三号

国立国会図書館のパブリック・ドメイン資料の積極的な活用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年三月十三日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国立国会図書館のパブリック・ドメイン資料の積極的な活用に関する質問主意書

 国立国会図書館は、平成二十四年七月に「私たちの使命・目標二〇一二-二〇一六」を策定し、「情報アクセス」を一つの目標として掲げた上で、「国立国会図書館の収集資料を簡便に利用し、また必要な情報に迅速かつ的確にアクセスできるように、新しい情報環境に対応して、資料のデジタル化、探索手段の向上など、誰もが利用しやすい環境・手段を整備します。」としている。
 これまでも、著作権の消滅したいわゆるパブリック・ドメインの資料等については、国立国会図書館が提供する「近代デジタルライブラリー」を通して、デジタル化された資料が公開されている。パブリック・ドメイン資料については、第三者による転載が行われても著作権法上の問題は生じず、むしろ国民の創造的な活動に貢献することから、デジタル化されたそれらの資料を広く流通させることが重要であると考えられる。
 しかしながら、現在、国立国会図書館がデジタル化したパブリック・ドメイン資料を第三者が転載利用する場合には、国立国会図書館ウェブサイトからのコンテンツの転載依頼フォームを利用して、資料一点ごとに申請することが求められており、パブリック・ドメイン資料を一度に大量に転載利用申請する方法が用意されていないなど、活用する際の利便性には課題が残る。
 一方、米国や英国においては、百万点以上にも上るパブリック・ドメイン資料が、民間企業が提供する電子書籍等のサービスを通じて、何人も広く利用することが可能となっている。
 ついては、転載手続の簡素化も含め、国立国会図書館がデジタル化したパブリック・ドメイン資料の利活用の推進に向けた体制整備を行うべきであるとの観点から、以下質問する。

一 近代デジタルライブラリーによる資料の公開を始めとする国立国会図書館による情報アクセスの向上に係る取組について、政府としてどのように評価するのか明らかにされたい。

二 国立国会図書館における資料のデジタル化を加速するとともに、近代デジタルライブラリーにおいて公開されているパブリック・ドメイン資料をより簡便に転載利用することができるよう、政府としても支援・検討を行うべきであると考えるが、政府の方針を明らかにされたい。

三 平成二十五年二月から三月にかけて、文化庁において、国立国会図書館の保有するデジタル化資料の中から選定した資料を著作権処理などの手続を経て、電子書籍の制作から配信までを実験的に行う「文化庁eBooksプロジェクト」が実施された。民間事業者等が、国立国会図書館のデジタル化資料を基に、ビジネス展開を行うに当たっての課題や有効策について、どのような知見が得られたのか。また、政府としてその知見を基にどのような対応を行う方針であるのか、併せて明らかにされたい。

  右質問する。