質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

ビットコインに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月二十五日

大久保 勉   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   ビットコインに関する質問主意書

 インターネット上の仮想通貨とされるビットコインへの注目が高まっている。インターネット上において、ビットコインを決済手段として利用可能な物販サイト及びサービス提供サイトは多数存在し、実店舗でも取扱いが増加しているのが現状である。しかし、その法的な位置付けは不明確であり、決済における不安定要素となっている。
 よって、ビットコインに対する規制の範囲を明確にし、取引の安定性・確実性を確保する観点から、以下質問する。

一 世界全体で、ビットコインの現在の発行残高及び経済価値は、日本円に換算していくらか。

二 諸外国において、ビットコインが資金決済で果たしている役割と、それに伴う法的な位置付けは各国でそれぞれ異なると認識している。例えば、中国、ロシア等においては、ビットコインの使用が規制されているとの報道もある。
 諸外国の中で、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国はあるのか。

三 日本において、ビットコインは民法における「通貨」及び外国為替及び外国貿易法における「本邦通貨」、「外国通貨」に該当するのか。また、これらの法律のほかに、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定は存在しているのか。
 さらに、銀行法、金融商品取引法等金融関連の法律におけるビットコインの取扱いや、その他の法律におけるビットコインの位置付けはどのようになっているのか。

四 前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合は、我が国においては決済手段としてのビットコインの使用が禁止されるものであるのか。使用が禁止されるのであれば、その根拠となる法令を明らかにされたい。使用が禁止されないのであれば、以下の三点につき、法的な根拠も含め明らかにされたい。

1 ビットコインによる取引には課税されるか。
2 銀行は、ビットコインの売買の仲介、ビットコインと円貨又は外貨との交換並びにビットコイン口座の開設及び送金ができるか。
3 証券会社及び投資顧問会社は、ビットコインを投資対象とするファンドを組成することができるか。

五 ビットコインでの決済が日本国内で事実上行われている状況に鑑みて、いわゆるマネーロンダリングに使われることを防ぐとともに、マネーロンダリングに使われた場合に迅速な摘発を行うことが必要となるが、政府はどのような法令で担保しようと考えているのか。特に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び犯罪による収益の移転防止に関する法律との関係について示されたい。
 また、前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合、特に、民法、銀行法及び外国為替及び外国貿易法において通貨として定義していない場合には、マネーロンダリング対策の不備の原因となり得るのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引が、民法の規定により無効とされ、又は銀行法、金融商品取引法、外国為替及び外国貿易法その他の法令に違反することはないか。特に、刑法における賭博及び富くじに関する罪に違反することはないか。

七 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するものとして、刑事上の処罰を受ける可能性はないのか。また、こうした勧誘が金融商品取引法等の金融関連の法律で容認されるためには、どのような業者登録や勧誘規制の遵守が必要となるのか。

  右質問する。