質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

モザンビークでの三角協力プロサバンナ事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月二十五日

神本 美恵子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   モザンビークでの三角協力プロサバンナ事業に関する質問主意書

 二〇〇九年に合意されたモザンビーク北部ナカラ回廊地域における「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発プログラム(ProSAVANA-JBM)」(以下「プロサバンナ事業」という。)は、日本の耕地面積の約三倍に当たる約千四百万ヘクタールを対象地域とし、そこには四百万人以上の農民とその家族が暮らしている。その九十九・八九パーセントが小規模農家(以下「小農」という。)であり、耕地面積の九十六パーセントをこれら小農が耕している。近年、急速に進む外国投資や企業による土地収奪との紛争が多発し、小農らは不安の中で生活を営んでいる。
 プロサバンナ事業における三本柱の一つが「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援事業(ProSAVANA-PD)」(以下「マスタープラン策定支援事業」という。)であり、コンサルタント機関として日本とブラジルの企業が契約を結んでいる。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 ブラジル側唯一のコンサルタント機関であるジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)は、高い公益性・公平性に基づくべきマスタープラン策定支援事業を受託しているにもかかわらず、同事業と同じ地域を対象として、大規模農業を振興するための投資ファンド「ナカラ回廊ファンド」を海外企業向けに売り出している。プロサバンナ事業がブラジルも含めた三角協力である以上、日本政府はFGVが投資ファンドを売り出していることを承知していると考えるが、いかがか。承知している場合には、投資ファンドの内容を示されたい。

二 マスタープラン策定支援事業によって作成された「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援事業(ProSAVANA-PD)レポート二」(二〇一三年三月)やFGVによると、この投資ファンドはプロサバンナ事業の一環として位置付けられ、国際協力機構(JICA)の関与が示されている。政府はこれを承知しているか。

三 FGVが小農支援を謳い、前記一のとおり、公益性・公平性に基づくべき政府開発援助であるプロサバンナ事業を請け負う一方で、民間企業の利益のための投資ファンドを集めることは利益相反に値すると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 プロサバンナ事業は日本・ブラジル・モザンビークの三角協力によるものとして合意されており、FGVが利益相反状態にある場合には、政府開発援助の透明性を謳ったODA大綱に反すると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 安倍総理は先般の参議院本会議(一月二十九日)での質問に対し、「不法な土地収奪等が起こらないよう特に留意」すると答弁している。「不法な土地収奪等」の「等」で示される懸念される事項を明らかにした上で、政府としてどのようにこれを実現するのか具体的に示されたい。

六 安倍総理は本年一月のモザンビーク訪問時にナカラ回廊地域の総合開発のために七百億円のODA供与を表明したが、この内訳を示されたい。特に「ナカラ回廊ファンド」に関する融資あるいは資金拠出が含まれているか否か示されたい。

  右質問する。