質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

情報収集衛星による画像情報の取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月十日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   情報収集衛星による画像情報の取扱いに関する質問主意書

 内閣衛星情報センターは、我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集を目的とする情報収集衛星を保有・運営しており、大規模災害への対応においても、その機能を十分に活用することが期待される。
 しかし、東日本大震災の際に、内閣情報調査室において、情報収集衛星により撮像した画像の判読・分析結果等を基に、被災状況推定地図を作成し、関係省庁に配布していながら、東京電力に対しては、内閣衛星情報センターが米国の商用衛星の画像を購入し、それを提供したことが明らかになっている。また、国家安全保障に関する特別委員会における特定秘密の保護に関する法律案の審査の過程で、情報収集衛星に関することも議論となった。安倍内閣総理大臣は、「特別管理秘密文書等の総数が四十二万件」、「うち約九割は、実は、我が国の情報収集衛星に関するいわば写真」と答弁し、河邉政府参考人は、「情報収集衛星が撮像した画像については、情報収集衛星の撮像内容及び能力が明らかになることから、本法案別表第二号ハ又はニに該当し、特定秘密に指定されるものと考えている」と答弁している。
 一方で、平成二十五年十一月から十二月には、内閣情報調査室から在京フィリピン大使館に対し、情報収集衛星の画像情報等を基に作成された台風被害の被災状況推定地図が提供され、一般公開もされているところである。
 そこで、以下質問する。

一 特別管理秘密文書等の約九割が情報収集衛星により撮像した画像であるとされるが、情報収集衛星により撮像した画像及び当該画像を基に作成された情報(以下「情報収集衛星による画像情報」という。)は、全て特別管理秘密に指定されているのか。指定されていないものもある場合には、どのような基準に基づき指定しているのか。

二 特定秘密の保護に関する法律が施行された場合に、情報収集衛星による画像情報は、全て特定秘密に指定されることになるのか。

三 政府は、在京フィリピン大使館に対して台風被害の被災状況推定地図を提供し、同地図を一般公開したが、これにより「情報収集衛星の撮像内容及び能力」又は「情報収集衛星の性能及び運用状況」等が明らかになるおそれはないのか。また、同様の情報を、東日本大震災の際に東京電力に対して提供できなかった理由を明らかにされたい。

四 情報収集衛星は、大規模災害等への対応だけでなく、外交や防衛等の安全保障のための情報収集を目的としているため、その撮像した画像を公表することによる「安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼすおそれ」のため秘密に指定されてしまい、大規模災害等への対応に一定の支障をきたしている。しかし、被災状況推定地図のように、大規模災害等への対応に活用できる情報は、可能な限り公開していくべきである。そこで、情報収集衛星による画像情報をその使用目的、加工の有無等に応じて秘密指定又は解除する基準を策定するなど、国民のために情報収集衛星を活用できるよう検討するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。