質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

普天間飛行場の辺野古移設に伴う名護市長の許認可権限等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月三日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   普天間飛行場の辺野古移設に伴う名護市長の許認可権限等に関する質問主意書

 去る一月十九日に行われた沖縄県の名護市長選挙は、自由民主党の幹事長が応援に駆け付け、五百億円の振興基金構想を示したことからも分かるように、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非が最大の争点となった。選挙の結果、過去最大の四千票以上の票差をつけ、移設に反対する稲嶺進氏が再選された。移設反対の民意が示されたにもかかわらず、政府は移設を強行しようとしている。
 よって、以下質問する。

一 政府は、名護市長選挙で示された移設反対の民意を重く受け止め、直ちに普天間飛行場の辺野古移設計画を撤回し、沖縄県外又は国外への移設を進めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 政府は、名護市長選挙で辺野古移設反対の民意が示されたにもかかわらず、選挙の翌日には辺野古移設のための埋立設計等の入札公告を行うなど、選挙結果を無視して辺野古移設を強行しようとしている。今後、政府は辺野古移設強行に向け、どのようなスケジュールで進めようとしているのか、その詳細を明らかにされたい。

三 稲嶺名護市長は再選に際して、政府の辺野古代替施設建設に対し、埋立てを前提としたいかなる手続や協議も全て断っていくと述べ、辺野古移設反対の強い意思を示した。他方、菅内閣官房長官は、記者会見において市長権限は限定されているので支障は生じないと述べたが、これはどのような趣旨か。民意の支持を受けた市長の意向を無視できるということか、政府の見解を明らかにされたい。

四 報道等によると、政府は、辺野古への代替施設建設に当たって、「①辺野古漁港隣接地への作業ヤードの設置に関する砂浜への工作物建設及び使用(占有)に関して、漁港漁場整備法第三十九条による港湾管理者の許可(又は協議)、②海浜の使用(占用)に関して、海岸法第七条による海岸管理者の許可、③普天間代替施設の建設作業に伴う護岸や防風林に対する工事に関して、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第二十二条による補助事業により取得した財産の処分申請、④キャンプ・シュワブ内の文化財調査に関して、文化財保護法第九十四条第二項及び第三項による、埋蔵文化財包蔵地における工事に当たっての工事を実施する国の機関等と市教育委員会との協議、⑤文化財保護法第五十四条及び第五十五条による名護市教育委員会によるキャンプ・シュワブ内の文化財調査、⑥普天間代替施設への専用水道の布設に関して、水道法第三十三条及び第三十四条による市長への申請、⑦普天間代替施設への航空機燃料タンクの設置に関して、消防法第十一条による危険物貯蔵所設置に際しての市長の許可、⑧普天間代替施設建設に際しての河川(美謝川等)の付け替え工事に関して、名護市法定外公共物管理条例による工事施工者と市長との協議」の項目について、名護市長に対して許可、承認、協議等を求める必要があるとされている。①から⑦の項目について検討しているか明らかにされたい。また、これらの項目以外に政府が検討しているものがある場合には、明らかにされたい。

五 前記四において確認した項目(新たに政府が答弁したものも含む)について、それぞれが地方自治法上の自治事務又は法定受託事務のいずれに当たるかを明らかにされたい。

六 地方自治法第二百四十五条の五第二項の規定により、政府は、市町村の事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、都道府県の執行機関に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができるとされている。前記四において確認した項目について、市長がいかなる手続、協議にも応じない場合、この規定に基づき、沖縄県に対して是正の要求等を行うこととするのか、政府の見解を明らかにされたい。

七 名護市長が是正要求に従わない場合においても、地方自治法上、法定受託事務以外は代執行等の措置は行うことができないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

八 地方自治法第二百五十一条の七の規定では、市町村に是正の要求を行った各大臣は、当該市町村長等が当該是正の要求に応じた措置を講じないときで一定の場合において、高等裁判所に対し、当該是正の要求を受けた市町村の不作為に係る市町村の行政庁を被告として、訴えをもって市町村の不作為の違法の確認を求めることができるとされている。名護市長が前記六の是正の要求に従わない場合、政府として、右訴訟を行うことを考えているのか、また、違法の確認が確定した場合の法的効果について、政府の見解を明らかにされたい。

九 地方自治法上、法定受託事務以外については、政府が、名護市長の権限に属する事項について、強制的に行わせることはできないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、これら市長の権限に属する事項について、特別措置法を制定して国の権限として実施することについての政府の見解及び検討状況を明らかにされたい。

  右質問する。