質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

「特定秘密の保護に関する法律」の施行までに行うべき措置等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年一月二十八日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「特定秘密の保護に関する法律」の施行までに行うべき措置等に関する質問主意書

 平成二十五年十二月六日に、特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が成立し、同十三日に公布された。特定秘密保護法の成立には、政府が提出した原案に関する与野党間の修正協議が複数回にわたって行われた経緯がある。右の点を踏まえ、特定秘密保護法の施行までに行うべき措置等に関して、以下質問する。

一 日本国憲法が、国民の代表機関である国会を唯一の立法機関としている趣旨を政府はどのように理解しているか、端的に示されたい。

二 特定秘密保護法が成立したが、政府は、本法成立前に、主権者たる国民に、その内容を十分に理解してもらい、かつ、当該法律の必要性及び国民の人権との関係について十分に納得が得られたと考えているか。考えている場合には、その理由を明らかにされたい。

三 特定秘密保護法は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で施行されることになるが、政府として、現時点において本法施行までに実施する必要があると考えている措置等を明らかにされたい。平成二十五年十二月九日に安倍内閣総理大臣が行った記者会見だけでは、国民に対する説明が到底十分とは思われないが、国民の理解と納得を得るためにどのような措置等を行うこととしているか、政府の見解を明らかにされたい。
 また、当該必要な措置等について、その実施のタイムスケジュール(工程表)を明らかにされたい。

四 施行までに実施すべき措置等として特に重要なものとして、特定秘密の指定基準の策定と公表、特定秘密の指定、解除、廃棄、保存の適正を監視する仕組みの構築(議員立法による国会への設置を含む。)等を挙げることができるが、これらは、ある情報を秘密とする必要性及び国家・国民の安全を確保するために当該情報を適正に管理することの必要性を明らかにし、そのための法律が必要であることについて主権者たる国民の納得を得るために不可欠な事項であると考える。
 しかしながら、成立した特定秘密保護法は、その題名及び目的において、秘密として保護すること(国民に知らせないこと)ばかりが重視・強調されているようであり、国家・国民の安全を確保するため、政府が、外交安全保障等に関する必要な情報を取得・収集し、その情報を適正に管理することの重要性が十分な説得力をもって説明されていないように思われる。
 そこで、本法施行までの間に、本法に対する国民の理解と納得を得るための措置の一環として、本法の題名及び目的を改めて検討し、例えば題名を「国家及び国民の安全の確保等を図るための国家安全保障に関する情報の適正な管理に関する法律」とし、目的を「この法律は、国際情勢が複雑化し、高度情報通信ネットワーク社会が著しく発展している今日において、外交、国防等を通じてわが国の安全保障に関する情報を適時適格に取得しこれを適正に管理することが、わが国及び国民の安全の確保に極めて重要であることに鑑み、当該情報のうち特に秘匿することが必要であるもの(以下「特定秘密」という。)の範囲の明確化、特定秘密の取扱者の制限、特定秘密の漏えい防止のための措置等について定め、わが国の安全保障に関する情報を適正に管理するための体制及び仕組みを構築することを目的とする。」に改めることが有益かつ望ましいと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。