質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

韓国人元BC級戦犯者問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年一月二十四日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   韓国人元BC級戦犯者問題に関する質問主意書

 韓国人元BC級戦犯者の李鶴来氏らは、一九五二年三月に「同進会」(一九五五年四月結成)の前身である「韓人会」を結成しました。日本政府に名誉回復と正当な措置を求めるのが目的です。それからすでに約六十二年の歳月が経過しました。
 今年八十九歳になる李鶴来会長らは、この問題の解決を求めて歴代首相に要望書を提出してきました。安倍晋三総理で二十九人目となります。韓国人元BC級戦犯者問題が早期に解決されることを願う立場から、以下質問します。

一 韓国政府は、韓国人元BC級戦犯者問題が国交回復のための日韓会談では議題として扱われなかったことを明らかにしています。ところが日本政府は、議論の有無を明らかにしないまま「完全かつ最終的に解決した」と主張しています(二〇〇六年六月二十日付け参議院議員福島みずほ君提出韓国・朝鮮人元BC級戦犯者への人道的措置に関する質問に対する答弁書(内閣参質一六四第七二号))。日韓基本条約・請求権協定締結四十九年後の今日まで、議論を十分に尽くさなかった結果が、戦後処理問題の隙間に取り残されてきたのではないですか。当事者が納得せず、裁判所も「適切な立法措置」への期待を表明(一九九八年七月十三日東京高裁判決)しているにも関わらず、今日まで放置されてきた事実は深刻です。政府は、人道的・政治的見地から、適切な措置を講じるべきではないですか。

二 「慰安婦」や強制連行・強制労働事件と異なり、戦犯者に関する資料は連合国による裁判資料もふくめて数多く保存されており、事実関係をめぐっての争いは少ないです。日本のために青春と命を捧げた朝鮮半島や台湾出身の元BC級戦犯に、国が相応の措置を採ることに対して異論をはさむ向きは少ないと思います。人道的・政治的見地から新たな措置を採ることに対して、障害があるとすれば、何ですか。

三 民主党は二〇〇八年五月に「特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金の支給に関する法律案」を提出しました。衆議院解散のため未了となりましたが、一部他党の支持も得ていました。本来は、裁判所も認める「著しい不利益」を受けとめて、政府が閣法として法案を作成・提出すべきと思いますが、いかがですか。

四 戦後六十九年目を迎える今日では、当事者の平均年齢は九十歳に迫り、遺族もまた高齢化しています。早急な対応を求められている課題に政府は緊張感をもって対処するべきです。政府内で、現在この問題を担当している部署はどこですか。

五 日韓両国の厳しい関係が続くいま、未解決のこの問題に取り組み、早期に処理することは、両国の友好を促進する面からも有益であると考えます。この点について、政府の認識をお示し下さい。

  右質問する。